経営知識を有する証明として、国内でも認知度を高めつつあるMBA（経営学修士）。

通学のための時間が取れないなどの理由で、オンラインでの受講を検討している方もいるでしょう。

当コラムでは、オンラインMBAを受講できる大学院について詳しく紹介します。

社会人向けのオンラインMBAはあるかどうかについても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

日本国内のオンライン（通信制）MBAおすすめ5校

ここでは、オンラインでMBA取得を目指せるおすすめの大学院について、以下の5校を紹介します。

• グロービス経営大学院
• SBI大学院大学
• 事業創造大学院大学
• ビジネス・ブレークスルー大学院大学
• 名古屋商科大学大学院（PreMBA）

グロービス経営大学院

グロービス経営大学院は、MBAを取得できる大学院としてオンライン・通学ともに日本最大規模を誇ります。

オンライン講義がライブ形式で行われるため、通学と同様の上質なカリキュラムを受講できる点が最大の特徴です。

クラスメイトたちとリアルタイムにディスカッションしながら知識を深められます。

さらに、オンラインと通学を柔軟に切り替えられる点もポイントです。

全国に7つあるキャンパスには、オンライン受講生でも自由に通学可能。

例えば、「出張や旅行で近場まで足を運んだ機会にキャンパスで授業を受けたい」といった要望にも応えてくれます。

ZOOMによるオンライン体験クラスも開催されているため、入学を検討している方はまず受講してみてもいいでしょう。

参考：グロービス経営大学院（グロービスMBA）の入試難易度・合格率・費用は？ | 国内MBAラボ
参考：オンラインMBA｜グロービス経営大学院

SBI大学院大学

SBI大学院大学は、文部科学省の認可を受けたオンラインMBA専門のビジネススクールです。

目的に合わせて3つのコースから選択できる点が特徴。

本格的にMBA取得を目指す方から関心のある分野だけを集中的に学習したい方まで、多くの受講生の需要に応えてくれます。

スクール全体で起業家の育成に力を入れており、事業を興すことを目的としている受講生への支援体制も充実しています。

審査を通過すれば、資金提供や販売支援など、卒業後に安心して活躍できるようサポートしてもらえます。

MBAを取得して経営に活かしたい・事業を立ち上げてやりたいことがあるといった方には特におすすめのビジネススクールです。

参考：SBI大学院大学

事業創造大学院大学

事業創造大学院大学は、新潟県にキャンパスを構える大学院です。

「事業創造」の校名どおり、スクール全体で事業企画力（アントレプレナーシップ）を有する起業家の育成に力を入れています。

スクールのOBや教員、留学生など、多様なバックグラウンドをもつ相手とのネットワーク形成を積極的にサポートしてくれる点も魅力です。

ライブ形式の講義内ディスカッションなどでさまざまな立場の人物と深めた交流と人脈は、卒業後の進路にもきっと役立つでしょう。

なお、オンラインでの受講は原則として「新潟県外在住者」または「通学に1時間以上を要する受講生」を対象としている点に注意が必要です。

参考：事業創造大学院大学

ビジネス・ブレークスルー大学大学院

ビジネス・ブレークスルー大学大学院は、世界的経営コンサルタントとして名を馳せる大前研一先生が学長を務める大学院です。

在籍する教官も、ビジネスの第一線で活躍する一流経営者ばかり。

プロ中のプロから学びを得られる点が人気を集めています。

本学のカリキュラムの特徴は、独自のケーススタディ「RTOCS（Real Time Online Case Study）」です。

現在進行形で解決案が求められている企業課題を教材として使う講義は、一般的な「過去の事例」を用いたケーススタディとは一線を画します。

さらに、2年次では担当教官と1on1体制で卒業課題に挑戦。

現役経営者から直接受ける指導は非常に実践的なもので、起業や社内における新規事業立ち上げを目指す方におすすめのスクールです。

参考：ビジネス・ブレークスルー大学大学院

名古屋商科大学大学院（PreMBA）

名古屋商科大学大学院では、MBAの導入教育課程にあたるPreMBAのカリキュラムを受講できます。

PreMBAでは短期間でMBAの「エッセンス」を習得することを目的としており、受講生はマネジメントの基礎部分を最短6か月で固めていきます。

PreMBAはあくまでMBA課程の「基礎部分」を学ぶ課程であるため、修了してもMBAは取得できません。

しかし、代わりに取得できるPreMBAの履修証明（Certificate）は、履歴書にも記載できるビジネス教育学習者の証明となります。

また、履修証明を獲得することで修士課程への道が開けるため、大卒未満でMBAホルダーを目指す学習者の入学も多いです。

参考：名古屋商科大学ビジネススクール（名商大MBA）の学費や評判は？ 厳しいって本当？
参考：PreMBA《社会人教育》｜名古屋商科大学大学院

オンライン（通信制）MBA4校比較

ここでは、「SBI大学院大学」「事業創造大学院大学」「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」「グロービス経営大学院」の4校を、以下の内容で比較します。

• 費用が安いオンラインMBAは？
• 難易度が低いオンラインMBAは？
• 社会人が働きながら取得できるオンラインMBAは？
• 1年で取得できるオンラインMBAは？

費用が安いオンラインMBAは？

大学院	費用	内訳
SBI大学院大学	2,620,000円	入学金+授業料・IT教材費2年間（本科）
事業創造大学院大学	3,000,000円	入学金+授業料・施設設備金2年間
ビジネス・ブレークスルー大学院大学	3,315,000円	入学金+授業料・システム利用料2年間
グロービス経営大学院	3,330,000円	入学金+授業料2年間（本科生）

上記は4校を費用面で安い順に表にしたものです。

いずれも2年間の料金であることを考慮すると、SBI大学院大学がもっとも安いという結果になりました。

難易度が低いオンラインMBAは？

本章で紹介する4校は過去の入試倍率を公表していないため、試験難易度を明確に測ることはできません。

ここでは参考までに、各大学院の試験内容を紹介します。

大学院	試験内容
グロービス経営大学院	・書類審査（課題エッセイなど） ・面接
SBI大学院大学	・小論文 ・面接
事業創造大学院大学	・書類審査（志望理由書など） ・面接 ・記述式試験または課題審査
ビジネス・ブレークスルー大学大学院	・書類審査（エッセイなど） ・面接

社会人が働きながら取得できるオンラインMBAは？

本章で紹介する4校は、すべて社会人が働きながら受講できる時間割のカリキュラムを提供しています。

ここでは、各校の授業時間について比較します。

大学院	授業時間
グロービス経営大学院	・平日夜間（19:00〜22:00） ・土日 （10:00〜21:00）
SBI大学院大学	・なし ※動画視聴による学習が主
事業創造大学院大学	・平日夜間（18:30〜21:40） ・土曜日 （10:30〜17:50） ※平日昼の受講も可能
ビジネス・ブレークスルー大学大学院	なし ※動画視聴による学習

1年で取得できるオンラインMBAは？

本章で紹介している4校では、1年で修了できるオンラインカリキュラムは提供されていません。

いずれのカリキュラムも標準修了年限は2年となっています。

オンラインMBA（ビジネススクール）を選ぶポイントは？

ここでは、オンラインMBAを選ぶ際のポイントについて、以下の3点を解説します。

• ディスカッション形式
• 費用はどれくらいか
• 自分の目的に合っているビジネススクールか

ディスカッション形式は何か

MBAの学習のメインとなる「ディスカッション」は、スクールによってさまざまな形式で実施されます。

オンラインMBAで一般的な「ライブ形式」は、受講生全員がリアルタイムで参加する形式です。

教室で行う授業と同じく、決まった授業時間に出席する必要があります。

「テキスト（非同期的）ディスカッション形式」は、オンラインの掲示板でチャットを飛ばしながらやり取りを行う形式です。

臨場感にはやや欠けますが、自分のペースで返信が可能です。

また、SBI大学院大学のように、ライブ形式とテキスト形式をハイブリッド的に活用しているスクールもあります。

費用はどれくらいか

オンラインMBAでは、一般的に2年間で300万円ほどの学習費用が必要とされます。

国公立大学に通学してMBAを学ぶ場合の費用が100〜150万円ほどであることを考えると、決して安い金額ではありません。

費用が確保できるかどうかは入学前にしっかり検討しましょう。

ただし、なかには補助金の対象校に指定されているなどの理由から、学生の実質負担額を軽減できるスクールもあります。

例として、教育訓練給付制度の対象校であるグロービス経営大学院では、3,250,000円の費用を実質的に1,970,000円にできる可能性があります。

給付には特定の条件があるため、自分が対象かどうかは事前に確認しましょう。

参考：学費（費用）・教育訓練給付金｜グロービス経営大学院

自分の目的に合っているビジネススクールか

スクールの教育目的が自分の目的に合っているかどうかは必ず確認しましょう。

カリキュラムのゴールはスクールによってさまざまです。

「起業を支援してくれる」「人脈作りをサポートしてくれる」など、スクールの目的によって受けられるサポートも変わります。

判断に困った時は、入学を検討しているスクールの卒業生の進路を参考にするといいでしょう。

起業が目標であれば起業家を輩出しているスクールを、企業で活躍したいのであれば就職率の高いスクールなどと選べばミスマッチの可能性が下がります。

オンライン（通信制）MBAと通学制MBAの違いは？

オンラインMBAと通学制MBAは「実際の教室に通うかどうか」の点で異なり、それぞれにメリットがあります。

オンラインMBAのメリットは、「時間的な余裕が生まれる」ことです。

オンラインMBAはパソコンとネット環境が整っていれば場所を問わず授業に参加できます。

決まった時間に通学する手間がないため、多忙な社会人や経営者にとっては便利な形式といえるでしょう。

通学制MBAのメリットは、クラスメイトとの間で「人脈」が作れることです。

全員が同じ教室で学習を行う通学制では、授業外での交流機会も自然と増加します。

カリキュラムを通して築かれた絆は卒業後も相談や仕事の受発注などに役立ち、長く双方を支えてくれるはずです。

オンラインMBAは意味ないって本当？

オンラインMBAには国際認証を受けていないものが多く、クラスメイトと意見交流がしにくいなどのデメリットから、意味がないと考える人も多いです。

しかしオンラインMBAには、オンライン上でのコミュニケーションスキルが磨けるといった特有のメリットがあります。

近年、オンラインでコミュニケーションを取る機会は増えつつあります。

ディスカッションをメインとするMBAカリキュラムをオンラインで行うことで、非対面でのコミュニケーションスキルが自然と身につくでしょう。

経営知識のほかに非対面に特化したスキルが習得できる点にも、オンラインMBAで学ぶ意義はあるといえます。

まとめ

当コラムでは、オンラインMBAについて以下の内容で解説しました。

• オンラインMBAが受講できるおすすめの大学院は、「グロービス経営大学院」「SBI大学院大学」「事業創造大学院大学」「ビジネス・ブレークスルー大学大学院」「名古屋商科大学大学院（PreNBA）」の5校
• オンラインMBAを選ぶポイントは、「ディスカッション形式」「費用」「自分の目的に合っているか」の3点。
• オンラインMBAは意味がないという人もいるが、非対面のコミュニケーションスキルが磨けるという点で大きな意義がある。

オンラインMBAは時間的余裕が確保できる・非対面のコミュニケーションスキルが磨けるなどメリットが多く、多忙な方の学習にも最適です。

費用はやや割高な傾向がありますが、自分に合ったスクールで学ぶことの意義は受講料以上といえるでしょう。