【国内MBA】研究計画書とは? 書き方や研究テーマを決める方法について解説
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本コラムでは、研究計画書の書き方について詳しく説明します。本コラムの対象とする読者は以下の方々です。
- 過去に研究経験がなく研究テーマの設定方法がわからない方
- とりあえず研究テーマらしきものができたけど、これでいいのか疑問を持っている方
- 研究テーマ設定に先行研究をどのように活用するのかわからない方
- 一度不合格になり研究計画書の作成を最初から学びたい方
研究テーマの設定方法、研究計画書の書き方について初歩的な点から説明していきます。ぜひ最後までお読みください。
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目次
国内MBA(大学院)受験に必要な研究計画書とは?
MBAというと、ハーバード・ビジネス・スクールなどのアメリカのビジネス・スクールで実施されているケース・メソッドによるディスカッション形式の授業をイメージする方が多いと思います。
それは間違っていませんし、国内MBAでもケース・メソッドによるディスカッション形式の授業は行われています。
ただ、アメリカのMBAと国内(日本)MBAには大きな違いがあります。
それはカリキュラムの中に、研究が含まれるかどうかという点です。アメリカのMBAでは研究は行いません。
国内MBAでは通常の修士課程と同じく修士論文を作成することが求められています。
すなわち国内MBAでは研究が行われているのです。それも国内MBAでは、研究することがかなり重視されています。
そのため、国内MBAに入学後に、学生がどんな研究をしようと考えているのかを事前に研究計画として提出する必要があるのです。
この入学前に作成する研究の計画書のことを研究計画書と呼んでいます。
国内MBA入試に研究計画書の提出が求められる理由
国内MBA入試において研究計画書が求められている理由は、2つあります。
- 受験生が関心のある研究領域を把握するため
- 研究において必要な能力を備えているか把握するため
受験生が関心のある研究領域を把握するため
一つ目は、受験者の関心がある研究領域を大学側が把握するためです。
国内MBAは企業経営に関することを学ぶ場ですから、研究に関しても企業経営に関することである必要があります。
受験生の中には、研究したいこととして、ITやAIの技術に関する研究をしたいとか、法律に関する研究をしたいという方もいます。
このような研究はMBAでの研究ではふさわしくないので、そういうMBAでは対象外となる研究を望んでいる学生は事前に不合格にする必要があるのです。
また、大学教授には自身の関心領域があります。
自身の関心領域に合致する受験生はぜひ合格させたいと考えるものです。
この点からも、受験者の関心領域を知る必要があるのです。
さらには、大学教授には自身が得意とする研究アプローチがあります。
例えば、エスノグラフィーやグラウンデッド・セオリー・アプローチを専門とする教授のゼミを志望する場合に、統計的アプローチを用いた研究アプローチは好まれないことになります。
以上のように、受験者の関心がある研究領域を大学側が把握し、合否判断の基準にしようということで研究計画書が求められているのです。
研究において必要な能力を備えているか把握するため
二つ目は、受験者の研究におけるポテンシャルを大学側が把握するためです。
研究の目的は、これまでなかった何らかの新しい発見をすることです。
とはいえ、有名な経営理論のような大きな発見でなくてもいいのです。
自身の職場にとって新たな発見をもたらすといった意味での新たな発見でいいのです。
小さな発見でもいいのですが、新たな発見をするというのは簡単なことではありません。
そこで、国内MBAで研究をするにあたって必要となるポテンシャルを備えた人であるかどうかを見極める必要があります。
国内MBAでの研究において必要となる能力として、洞察力、創造力、理解力、知的好奇心があります。
こういった要因を受験者が備えているかどうかを見極める必要があるのですが、その手段として研究計画書を提出させているのです。
研究計画書の研究テーマを決める方法
研究テーマを決めるためには、次の2つのステップを実践することをおすすめしています。
- 経営学を網羅的に学習して理解する
- 自分が関心のある分野を見つける
ステップ1:経営学を網羅的に学習して理解する
第1ステップは、国内MBAで学ぶ経営学について全体像を理解することです。
国内MBAでは企業経営に関して網羅的に学びます。
例えば、経営戦略、マーケティング、消費者行動論、組織論、組織行動学、アカウンティング、生産管理、ファイナンス、イノベーションなどです。
これら幅広い領域の中から、自分が研究したいテーマを見つけることになります。
ということは、最初にやるべきことは、国内MBAで学ぶ上記の科目に関して、大雑把でもいいので全体を理解することです。
この国内MBAで学ぶ内容について全体を把握するためにおススメの書籍は、以下です。
- 伊丹敬之、加護野忠男 (2022)『ゼミナール経営学入門 (新装版)』日本経済新聞出版
※出典:Amazon.co.jp
ステップ2:自分が関心のある分野を見つける
第2ステップは、自分が関心のある分野を特定し、その中から自分が研究したいテーマを見つけます。
第1ステップで全体の理解ができたら、その中から自分が最も関心のある分野を見つけます。
例えば、自分は組織論に関心があるとか、消費者行動論に関心がある、という形です。
関心がある分野が特定できたら、その分野の専門書を読みます。ビジネス書ではなく、学術色の強い専門書を読むのです。
学術色の強い専門書は、必ず巻末に「参考文献」が記載されています。
自分が専門書を読む中で、興味を持った箇所の出所となる原書を参考文献一覧から探し出して、その学術論文そのものを読みます。
このように一冊の専門書を起点に、巻末の参考文献を利用して、数多くの学術論文を読むのです。
すると、自分が関心のある分野に関する知識がどんどん蓄積されていきます。
最終的には、自然に自分が研究したいことが見えてきます。なかなか自分が研究したいテーマが見えてこないという場合は、専門書を変えて、新たな専門書を読んで、そこでも参考文献を利用して学術論文の原書にあたります。
これを研究テーマが見つかるまで繰り返していくのです。
なお、原書の学術論文を探すためには、国会図書館に行くことがおすすめです。
以上のステップを実践することで、研究テーマが見えてくるはずです。
研究計画書の書き方
先に説明した研究テーマを決めるステップで、研究テーマはきまっていますし、学術論文の読み込みも終わっていますので、研究計画書を書き始めることができますので、書き方のステップを詳しく説明します。
- 研究テーマの設定背景を書く
- 先行研究の調査・研究テーマの新規生を提示する
- 研究アプローチの決定・データ収集先の決定
ステップ1:研究テーマの設定背景を書く
先のステップで研究テーマはできています。その研究テーマを設定した実務上の背景を書きます。
仕事での課題があり、その課題解決の一つの手がかりを得るために、今回の研究テーマを設定したという形で、実務上の背景を記述して、今回の研究テーマが実務でどのように活かされるのかを説明します。
ステップ2:先行研究の調査と研究テーマの新規性の提示
ここでは、先行研究と今回設定した研究テーマとの関係性を説明します。
今回設定した研究テーマが、先行研究ではどのくらい研究されているのかという点について、すでに読んでいる先行研究をもとに詳しく書きます。
その上で、先行研究にはない自分の研究における新規性を説明します。
国内MBAでの研究は、既存の研究に何か新たな視点を追加することが目的ですので、既存の研究の調査を踏まえて、自分の研究しようとしている研究がどんな点で新しいのかという点を提示します。
これによって、自身の研究テーマや研究内容の価値を伝えるのです。
ステップ3:研究アプローチの決定とデータ収集先の決定
新規性のある研究テーマが決まったら、その研究をどのようなアプローチで研究するのかを説明します。
研究アプローチには、統計解析を用いた量的アプローチとエスノグラフィーによる質的アプローチがあります。どちらのアプローチを採用するのかを決めます。
どちらにするかの決定は、第2ステップの先行研究の調査に用いた学術論文を参考に決めます。
自分の研究テーマと類似する学術論文で用いられているアプローチを用いるのです。
同時に、データ収集先について説明します。国内MBAの修士論文では基本的に1次データの取得が必要になります。
1次データとは自分でアンケートやインタビューをして取得したデータのことです。このデータ取得先を考えておく必要があります。
特にサーベイ法による質問票調査を行う場合は、ある程度のデータ量を確保する必要があるので、データ取得先を事前に決めておく必要があるのです。
国内MBA入学後にデータを取ることになった場合、大学院側がサポートしてくれることはありません。あくまでも自分でデータを取る必要があります。
そういう意味では、データ取得先を確保しておくことは、研究計画の実現可能性が高いと評価されて高評価につながります。
以上をもとに研究計画書の構成を組み立てて実際に作成に入ってください。
研究計画書で失敗しないためのポイント
研究計画書の作成において、よくある失敗例を3つ紹介し、その対策法について説明します。
実務上の課題をそのまま研究テーマにしない
一つ目は、実務上の課題や問題点をそのまま研究テーマとしている場合です。
実務上の課題や問題点をそのまま研究テーマとするのは好ましくありません。
その理由は、国内MBAでの研究は普遍性が求められるからです。
自社だけに適用できるという範囲の狭いものではなく、ある程度の広い範囲で適用可能な課題である必要があります。
そのため、単なる自社の課題を研究テーマとするのではなく、幅広い範囲の会社に適用可能な課題をテーマとするために、研究テーマは経営学研究で用いられている経営学用語に置き換えて表現することが必要です。
そうすることで、多くの方に参考になる研究になります。
研究テーマは狭い範囲で設定する
二つ目は、研究テーマが幅広くなっている場合です。
研究テーマというのはある程度、研究領域を絞り込んで狭い範囲で設定する必要があります。
例えば、マーケティングに関する研究をしたいというテーマを設定する人がいますが、これでは広すぎるのです。
マーケティングの中で、どんな領域のどんなことを研究するのかという点まで絞り込む必要があります。
例えば、「自動車メーカーのマーケティング戦略」というテーマでは広すぎます。
これを絞り込んで、「自動車メーカーのSNSを用いて消費者の認知度を高める施策の研究」というテーマを設定すると合格できるレベルになります。
どこからデータを取得するか考えておく
三つ目は、データ取得を考慮していない場合です。
研究計画書に書いたテーマは、自分でデータを取って検証する必要があります。
データ取得においては大学院は手助けをしてくれません。
ですから、研究テーマを考えると同時に、どこからデータを取るかまで考えておく必要があります。
データ取得ができなければ、研究はできませんので、データ取得ができない研究計画は実現可能性が低いとみなされてしまいます。
研究テーマの設定はできたのに不合格になったという方は、データ取得の実現可能性が低いと判断された可能性があります。
研究計画書作成上は、必ずどこからデータを取得するかまで考えておくようにしてください。
研究計画書の例文を見るには? 研究テーマが決まらない社会人必見
研究をしたことがない人が、研究計画書を作成するには、けっこうハードルが高くなっています。
研究計画書作成において、国内MBA受験生の多くが直面する問題は以下のようなものがあります。
- 研究テーマの設定の仕方がわからない
- 研究テーマはできたが、これで合格できるレベルなのか自分では判断できない
- 先行研究はどれを読んだらいいのかわからない
- 研究のアプローチ法は、どこまで深掘りするのかわからない
- 分析手法がわからない
以上のような問題に直面する方が多いようです。
そんな方には、アガルートの国内MBA講座をおススメします。
研究テーマの設定の仕方がわからないという方には、研究テーマの事例を紹介した「研究テーマ・ライブラリー」という講座があります。
本講座では、50を超える研究テーマの事例を紹介しています。
この事例を見て、ご自身の実務上の問題意識をプラスしていただければ研究テーマが完成するようになっています。
また、推薦図書や推薦文献を紹介していますので、先行研究はどれを読んだらいいのかわからない方には最適な講座となっています。
また、「出願書類・研究計画書の書き方講座」では、以下の合格者の研究計画書の実例を見ることができます。
過去の合格者の実例を多数紹介していますので、「どのくらいのレベルの研究計画書が合格するのか」「研究アプローチや分析手法はどんなものを選択すべきか」といった点を把握できるようになっています。
- 関西学院大学大学院 経営戦略研究科
- 神戸大学大学院 経営学研究科
- 筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院経営学学位プログラム
- 筑波大学大学院人文社会ビジネス科学学術院国際経営プロフェッショナル専攻
- 東京都立大学大学院 経営学研究科
- 一橋大学大学院経営管理研究科金融戦略・経営財務プログラム(夜間)
- 一橋大学大学院経営管理研究科 経営管理プログラム(夜間)
- 一橋大学大学院経営管理研究科 経営分析プログラム(全日制)
- 法政大学大学院 経営学研究科
- 明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科
- 横浜国立大学大学院 国際社会科学府経営学専攻
- 早稲田大学 大学院経営管理研究科(全日制、夜間主総合、夜間主プロフェッショナル)
さらに、「出願書類・研究計画書の書き方講座」では、オンラインで完結する回数無制限の添削指導があります。
「研究テーマ・ライブラリー」「出願書類・研究計画書の書き方講座」での学びから研究計画書の作成が終わりましたら、オンラインでの添削指導を無制限で受けることができます。
これによって合格レベルの研究計画書が完成することになります。
国内MBA受験の研究計画書作成講座という点では、他では見ることができないレベルの充実した内容になっていますので、アガルートの講座のご利用をお考えください。
まとめ
国内MBAの研究計画書は、研究経験がない方にとっては、ハードルが高くなっています。
実務上の問題意識を研究テーマに昇華させ普遍性を持たせるという作業が多くの方にとっては困難が伴います。
それを克服する方法を本コラムで紹介してきました。
先行研究の調査、研究アプローチの決定、分析手法の特定など、研究経験がない方にとっては、どれも初めて直面する事柄だと思います。
これを克服しないと国内MBA合格はありませんので、ぜひがんばってください。
皆様の合格をお祈りします。
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