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行政書士と司法書士はどう違う?仕事・試験難易度の違い・おすすめな人とは

基本情報

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「行政書士と司法書士って名前が似ているけど、どのような違いがある?」

「自分に合った資格は行政書士か司法書士どちらなのか知りたい!」

このようにお悩みの方はいないでしょうか。

行政書士と司法書士はどちらも法律系の国家資格です。

しかし、試験の出題科目や仕事内容など、異なる点も多々あります。

特に、受験を検討している方は、どちらが自分に合った資格なのか知ったうえで試験に臨みたいですよね。

当コラムでは、行政書士と司法書士の違い、試験の難易度やダブルライセンスのメリットについて解説します。ぜひ参考にしてください。

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行政書士と司法書士の違いとは

行政書士と司法書士は、仕事内容が異なります。

行政書士は主に官公署に提出する書類の作成・提出代行を行い、司法書士は登記手続の代理、法務局に提出する書類の作成代行などを行います。

仕事内容の他にも異なる点はありますが、ここでは仕事内容に絞って解説します。

行政書士とは

行政書士とは、行政書士法に基づく国家資格です。

官公署に提出する書類の作成・提出代行が主な仕事内容です。

内容証明郵便の作成など、権利義務書類の作成をメインに据えている人もおり、仕事内容は多岐にわたります。

行政書士の仕事はとにかく幅が広いことが特徴です。日本に存在する許認可の数は10,000を超えるともいわれており、そのすべてを仕事にできるのが行政書士です。

近年、AIの発達により行政書士の仕事はなくなるのではないかと噂されています。

しかし、行政書士の主戦場である許認可業務では、細かい法知識が要求されることもあります。

個別具体的な要件はAIではカバーしきれないため、行政書士はこれからも必要とされるでしょう。

また、行政庁が発行する手引きを参照すれば、誰でも書類作成自体は可能です。

しかし、膨大な時間がかかってしまうことは確実であり、煩雑な書類作成を専門家に丸投げしたいというニーズは、これからも消えることはないといえます。

司法書士とは

一方、司法書士は司法書士法に基づく国家資格です。

法務局に提出する書類の作成や、登記手続の代理などが司法書士の主な仕事内容です。

さらに、法務大臣の認定を受けた司法書士は、訴額が140万円以下の訴訟を代理することができます。

司法書士は、まさに街の身近な法律家といえるでしょう。

会社設立時や土地の所有者を変更する時には必ず登記手続が必要になるため、大規模な法改正が行われない限り、仕事には困らない資格といえます。

また、近年では成年後見人の担い手として司法書士の名前が挙がることが多くなっています。

最高裁判所事務総局家庭局が発行した「成年後見事件の概況」によると、親族以外が成年後見人を務める時の内訳の、約36%が司法書士で占められています。

今後、高齢化社会によってますます成年後見人の需要は高まっていくでしょう。

司法書士は、成年後見業務の請負人としても広く知られています。

行政書士と司法書士はどっちが難しい?

資格試験を受験する時に最も気になることといっても過言ではないことが、試験の難易度ですよね。

また、合格したあとに仕事をこなしていけるのかどうか不安に思う人も多いでしょう。

そこでこの章では、仕事内容と試験難易度の面から、行政書士と司法書士のどちらが難しいか解説します。

仕事はどちらが難しい?

結論からいうと、どちらの仕事が難しいか一概にいうことはできません

例えば、行政書士の主な仕事である許認可業務では、クライアントの事情を丁寧にヒアリングするコミュニケーション能力が必須です。

さらに、行政庁の発行する手引きを読み込み、ミスがないよう書類を作りあげる細やかさも必要になるでしょう。

車庫証明業務をメインにする方は、1日で複数の警察署を巡る必要があるため、肉体的な体力がないと厳しいです。

このように、行政書士は専門業務によって求められる能力が異なってきます。

もちろん、基本的なコミュニケーション能力や行動力はあるに越したことはありませんが、業務ごとに求められるスキルが異なるのが行政書士の仕事の特徴です。

一方、司法書士も事務処理能力やコミュニケーション能力など、求められるスキルは多岐にわたります。

司法書士は法務局に提出する重要な書類を作成する仕事です。

クライアントの個人情報や、内部情報を預かることもあるでしょう。職務上のモラルや、遵法意識がほかの仕事よりも高いレベルで求められることは確実です。

さらに、簡易訴訟代理業務ができる認定司法書士は、裁判所に赴いて弁論に応じたり、支払督促などの手続を行います。

折衝能力や精神力が必要になることは想像に難くありません。

このように、行政書士と司法書士の仕事は、どちらも多くの能力が必要となります。

一概に仕事の難易度を結論づけることは難しいといえます。

試験はどちらが難しい?

司法書士試験のほうが行政書士試験よりも難しいといえます。

合格率と、合格するために必要な勉強時間、試験制度の面からそれぞれの試験の難易度を測ってみましょう。

行政書士試験を主催する一般財団法人行政書士試験研究センターが、年度ごとの合格率を公表しています。

年度 合格率
令和5年度 13.98%
令和4年度 12.13%
令和3年度 11.18%
令和2年度 10.72%
令和元年度 11.48%

参考:一般財団法人 行政書士試験研究センター

若干のばらつきはありますが、概ね約10%で合格率が推移していることがわかります。

また、行政書士試験に合格するために必要な勉強時間は、約600~1,000時間です。

仮に800時間勉強すると仮定した場合、1日2時間半の勉強を1年間続ければ到達することができます。

行政書士試験は絶対評価の試験であるため、合格点を超えるための戦略が練りやすいです。

難関資格であることは間違いないですが、比較的挑戦しやすいことが特徴です。

対して司法書士試験の合格率はどうでしょうか。

毎年、法務省が司法書士試験の最終結果を公表しています。直近5年間の合格率を確認してみましょう。

年度 合格率
令和5年度 5.19%
令和4年度 5.18%
令和3年度 5.14%
令和2年度 5.17%
平成31年度 4.39%

参考:法務省:司法書士試験

例年約5%の合格率であることがわかります。

行政書士試験のおよそ半分の合格率にしか達していないため、難易度の高さがうかがえます。

また、合格するために必要な勉強時間は約3,000時間が目安とされており、行政書士試験と比べて約3倍の勉強時間を確保しなければなりません。

スキマ時間やちょっとした休憩時間の間を縫って、知識を頭に入れる必要があるでしょう。

司法書士試験は相対評価の試験であるため、結果が出るまで合格点がわかりません。

目標点を設定する意味が薄く、ひたすら努力を重ねる強い精神力が必要です。

さらに、筆記試験だけでなく口述試験もあるため、試験制度の面でも司法書士試験のほうが行政書士試験より難しいといえます。

ダブルライセンスにメリットはある?

結論からいうと、行政書士と司法書士のダブルライセンスにメリットはあります。

仕事上のメリットと試験でのメリットの2つの観点から解説します。

仕事上のメリット

仕事上のメリットは、クライアントにワンストップサービスを提供できることです。

行政書士と司法書士の職域は、それぞれ行政書士法と司法書士法によって明文化されています。

例えば、行政書士が司法書士の独占業務である登記手続の代理を行うことは、司法書士法違反になります。

こうした士業の職域から発生する問題が、「業際問題」です。

士業の仕事をしていくにあたって業際問題は常についてまわるため、他士業の職域に侵入しないリスクヘッジのためにも、他士業同士の事務所提携が盛んにおこなわれています。

行政書士と司法書士のダブルライセンスを所持した場合、ひとつの事務所で業務を完結させることができます。

他事務所と提携する場合は、クライアントに提携先の事務所に行ってもらったり、コミュニケーションの取り方に工夫が必要だったりと、どうしてもクライアントに時間を割かせることになってしまいます。

しかし、ダブルライセンスを所持していれば、ひとつの事務所に業務が集約されるため、クライアントに手間をとらせることがありません。

こうした一か所ですべての用事が完結するサービスのことをワンストップサービスといいます。

ワンストップサービスは顧客満足度が高いため、報酬も高めに設定されることが多いです。

行政書士と司法書士のダブルライセンスは、仕事上とても相性が良いといえます。

試験でのメリット

試験でもダブルライセンスのメリットはあります。

行政書士試験の科目は行政法、民法、基礎法学、憲法、商法、基礎知識の6つに大別されます。

対して、司法書士試験の科目は、憲法、民法、商法(会社法を含む)、刑法、民事訴訟法、民事執行法、民事保全法、司法書士法、供託法、不動産登記法、商業登記法の11個です。

2つの試験を見比べると、民法、憲法、商法の3つの科目が重複しているため、知識をお互いの試験に流用することができます。

また、民法は行政書士試験と司法書士試験のどちらにおいても配点が高いため、得意科目にすれば、両方の試験で得点源を確保することができるでしょう。

行政書士と司法書士はどちらがおすすめ?

では、行政書士と司法書士はそれぞれどのような人におすすめされるのでしょうか。

仕事面や学習面など、さまざまな切り口からおすすめな人を紹介します。

行政書士がおすすめな人

行政書士がおすすめな人は、許認可業務をメインにしたい人、法律初学者の人、独立志向が強い人です。

順番に解説します。

許認可業務をメインにしたい人

許認可業務をメインにしたい人には、行政書士がおすすめです。

先述したとおり、行政書士は官公署に提出する書類の作成を独占業務としていますが、その中でも王道といえるのが許認可業務です。

例えば、建設業関係の仕事に就いているため、その知識を生かして建設業許可に携わりたい人は、行政書士を目指すとよいでしょう。

業界の知識や人との繋がりもあるため、事務所経営が軌道に乗りやすいともいえます。

また、経験や知識がなくとも、チャレンジしたい許認可業務がある人は行政書士を目指すことをおすすめします。

法律初学者の人

法律初学者の人は、行政書士を目指すことをおすすめします。

試験難易度について、司法書士試験のほうが難しい試験であることは先述しました。

勉強時間も大量に確保しなければならないため、道半ばで挫折してしまう可能性も高いです。

行政書士試験は、司法書士試験と比較すれば易しい試験といえます。

また、基礎知識の科目があるため、法知識不足をカバーしやすい試験制度といえるでしょう。

法律初学者の人でもコツコツ努力を積み重ねていけば、必ず実を結ぶのが行政書士試験です。

早く独立したい人

合格後、すぐに独立開業して事務所経営したい人には行政書士がおすすめです。

行政書士以外の士業では、数年間勤務経験を経たあとに独立することがスタンダードとされています。

対して、行政書士業界では勤務経験を経ずに独立開業する「即独」が珍しくありません。

「即独したら、知識不足で業務に支障が出てしまわないか?」と心配に思う方もいるでしょう。

たしかに初めのうちは業務に手間取ることもあるかもしれません。

しかし、支部の先輩方や行政庁の職員の方などにアドバイスをもらうことで、ほとんどの知識不足は補うことができます。

合格後すぐに独立開業したい人には、行政書士がおすすめです。

司法書士がおすすめな人

司法書士がおすすめな人は、ある程度法律知識がある人、勉強時間を確保しやすい人、細かい点まで気を配れる人です。

順番に解説します。

ある程度法律知識がある人

ある程度法律知識がある人は、司法書士がおすすめです。

司法書士試験は、合格率が約5%の難関試験です。

膨大な勉強時間を確保する必要があり、大量の知識を頭に入れる必要があります。

ただし、法学部出身者の方や、ほかの法律系国家資格を取得している方は例外です。

知識の土台があるため、比較的少ない勉強時間で合格レベルに到達することができます。

勉強時間を確保しやすい人

勉強時間を確保しやすい人は、司法書士を目指すとよいでしょう。

司法書士試験に合格するために必要な勉強時間は、約3,000時間といわれています。

会社員の方や、フルタイムで働くパートの方は、どのように勉強時間を確保するか工夫を凝らす必要があるでしょう。

対して、学生の方やフリーター、主婦の方は勉強時間を確保しやすい傾向にあります。

このように多くの勉強時間を確保できる方は、少ない勉強時間で試験対策を行わなければならない方と比べると、大きなアドバンテージを持っているといえます。

細かい点まで気を配れる人

細かい点まで気を配れる人は、司法書士をおすすめします。

司法書士の王道業務である登記手続の代理は、ミスが許されない仕事です。

ふだんから書類の様式や誤字脱字などに気を配り、ミスが出ないよう気を付けなければなりません。

登記事項は、土地や会社の性質を表す重要な事項です。

ミスが許されないという意識を持ちながら、細かい点までチェックができる人は司法書士に向いているといえます。

ダブルライセンスがおすすめな人

ダブルライセンスがおすすめな人は、高年収を目指したい人、顧客からの信頼度を高めたい人、自己実現したい人です。

順番に解説します。

高年収を目指したい人

高年収を目指したい人は、ダブルライセンスをおすすめします。

ダブルライセンスを所持していれば、その分業務の幅が広がることは確実です。

例えば、行政書士一本で仕事をしており、会社設立の依頼が舞い込んできた場合、設立時の登記は司法書士の先生に依頼することで解決を図るでしょう。

当然ですが、登記手続部分の報酬は司法書士の先生に支払われることになります。

行政書士と司法書士のダブルライセンスを所持している場合、登記手続も自分でこなせるため、報酬額がその分上昇します。

このように業務の幅が広がることで、高年収を目指すことができるのがダブルライセンスの魅力のひとつです。

顧客からの信頼度を高めたい人

顧客からの信頼度を高めたい人にも、ダブルライセンスをおすすめします。

行政書士と司法書士は、どちらも難関資格です。

数年間にわたってチャレンジしたけれど合格できなかった人や、やむを得ず受験から撤退してしまった人も多くいます。

難関資格のダブルライセンスを所持していることで、目標に向かって妥協しない努力ができる人だと信頼を得ることができます。

シングルライセンス所持者よりも、多くの知識がある専門家というイメージを抱かれることもあります。

また、就職活動の面接などでも、面接官に良い印象を残せることでしょう。

自己実現したい人

資格を通して自己実現したい人は、ダブルライセンスの取得をおすすめします。

資格の取得は、自信の構築に繋がります。

目標に向かってひたむきに努力し、合格を勝ち取った経験は何事にも代えがたいでしょう。

そして、合格への道のりが険しければ険しいほど、得られる自信も大きくなるのではないでしょうか。

ダブルライセンスの取得は、決して簡単なことではありません。

しかし、だからこそ取得したあとの達成感や自信は、とてつもなく大きいものになるでしょう。

資格取得を通して自己実現したい人は、ダブルライセンスを目指してみることをおすすめします。

まとめ

以上、当コラムでは行政書士と司法書士の違いや、試験の難易度、ダブルライセンスのメリットについて解説しました。

行政書士と司法書士は、名前こそ似ていますが仕事内容から試験制度まで異なる点が多いです。

どちらも法律系の国家資格であるため、ダブルライセンスを取得すれば仕事面での相乗効果に期待できます。

また、試験面でも知識の流用が可能であるため、余裕のある人は行政書士試験と司法書士試験を並行して学習を進めてみてもよいでしょう。

ぜひ、自分に合っている資格を受験し、合格をつかみとってください。

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