行政書士試験の難易度とは?簡単って本当?
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「行政書士試験の難易度はどれくらいなの?」
「簡単とも難しいとも聞くけど、結局どっちが本当なの?」
行政書士を目指している人や資格に興味をもっている人の中には、行政書士試験の難易度について気になっている人も多いのではないでしょうか。
当コラムでは、行政書士試験の難易度について解説します。簡単・難しいと言われる理由や合格するための勉強法についても解説しているため、行政書士試験合格を目指している人もぜひ最後までご覧ください。
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目次
行政書士試験の難易度とは?他と比べてどれくらい難しい?
行政書士試験の難易度は、一般的な資格の中では「上」、法律系国家資格の中では「中の下」程度といえるでしょう。
例えば、一般的な資格にはWordやExcelといったパソコン系の資格、簿記やFP(ファイナンシャルプランナー)などさまざまなものがありますが、そういった一般的な資格の中では、行政書士は難しい部類に入ります。
簿記やFPも、1級を目指そうと思ったら容易ではありません。
しかし2〜3級程度であれば、例えば簿記3級なら合格率40〜50%、2級なら20%程度と、行政書士の「10%前後」と比較すれば取り組みやすい資格といえるでしょう。
一方比較対象が法律系国家資格になると、司法試験や司法書士、社会保険労務士など、行政書士より難しい資格がたくさん存在します。
ここでは、行政書士が他の資格と比べてどの程度難しいかイメージするために、「8士業」と士業以外の一般的な資格との合格率を比較してみます。
8士業で比較
行政書士の難易度は、8士業の中では「中の下」といったところでしょう。
それぞれの合格率は以下のとおりです。
資格名 | 合格率 |
司法書士 | 3〜4% |
社会保険労務士 | 4〜6% |
弁理士 | 6〜10% |
土地家屋調査士 | 7〜9% |
行政書士 | 10%前後 |
税理士 | 12〜15% |
弁護士 | 22〜39% |
海事代理士 | 48〜54% |
「8士業」とは、士業の中でも職務上必要な場合に戸籍や住民票などの証明書を請求できる権限をもつ8つの職業のことをいい、行政書士も含まれます。
ただし、必ずしも難易度=合格率ではない点に注意が必要です。
例えば弁護士は、合格率だけを見れば「意外と合格しやすいのではないか」と感じるかもしれません。
弁護士に関しては、そもそも司法試験を受験するまでのハードルが高いため、高めの合格率になっています。
8士業以外の資格と比較
続いては、8士業以外の資格との比較です。
宅建士やFP、簿記と比較した場合、「行政書士はFP1級や簿記1級と同等の難易度」であるといえるでしょう。
それぞれの合格率は以下のとおりです。
資格名 | 合格率 |
FP(1級) | 7〜18% |
行政書士 | 10%前後 |
簿記(1級) | 10%前後 |
宅建士 | 15〜18% |
FP(2級) | 20〜60% |
簿記(2級) | 25%前後 |
簿記(3級) | 35% |
FP(3級) | 40〜80% |
ただし、やはり合格率が100%難易度に直結するわけではありません。
それぞれまったくタイプの異なる試験であり、実際には比べようがないためです。
そのため、「FP1級と簿記1級に合格したから行政書士も取れる」というものではないことを念頭に置いておきましょう。
行政書士を取るまでにどれくらいかかる?何ヶ月?何年?
行政書士の資格を取るまでには、1日3〜4時間の勉強時間を確保できる学習経験者で半年以上、初学者で10ヶ月以上かかると考えておくとよいでしょう。
行政書士試験合格に必要な勉強時間は600〜1,000時間といわれているためです。
さらに多くの勉強時間を確保できるのであれば、半年未満の短期合格も十分狙えます。
ただし、勉強に専念できる環境でなければ、毎日休まず3〜4時間の勉強時間を確保することは至難の業でしょう。
中には2〜3年、もしくはそれ以上の年月をかけて合格を目指す人もいます。
法律の知識がない初学者には難しい?
行政書士試験は、法律の知識がない初学者でも十分合格を狙えます。
たしかに簡単なことではありませんが、現に多くの受験生が法律の知識ゼロからスタートしています。
行政書士試験には受験資格がなく、誰でも受験可能です。
年齢制限もないため、例えば小学生でも受けようと思えば受けられます。
また、高卒・中卒から資格を取得する人もいます。
正しく対策すれば、誰でも合格できる可能性があるところが行政書士試験の魅力と言えるでしょう。
行政書士は簡単?言われる理由4つ
ご紹介したとおり、行政書士試験は難しい試験です。特に初学者にとっては、とても簡単とはいえないでしょう。
しかし、中には「行政書士は簡単」などと言う人もいます。
簡単と言われる理由は以下の4つです。
- 誰でも受験できるから簡単?
- 昔は簡単だった?
行政書士の仕事は簡単? - 他の法律系資格より難易度が低い?
それぞれ解説します。
1.誰でも受験できるから簡単?
行政書士試験には受験資格がなく、「誰でも受験できる」ところが簡単であるというイメージにつながっている可能性があります。
たしかに、学歴・年齢・職歴・国籍を問わずに受験できるため、「受験する」ことに関してはハードルが低いといえるでしょう。
ただし、誰でも受験できることと合格することはまた別問題です。
前述のとおり、行政書士の合格率は10%前後と、決して高いとはいえません。
つまり、毎年80%以上の受験生が不合格になっているということです。
もちろん、中には記念受験のような感覚で受けている人や、申し込んだものの結局たいして勉強できなかったという人もいるでしょう。
しかしそういった要素を加味しても、行政書士試験は十分難しい試験であるといえます。
2.昔は簡単だった?
「昭和の時代の行政書士試験は簡単だった」という噂があります。
簡単だったといわれる時代の合格率は記録が残っておらず確かめようがありませんが、一部の人には「勘で答えても受かる」というようなイメージをもたれています。
しかし過去はどうあれ、行政書士試験は時代の流れとともに変化を重ね、正しく対策しなければ合格できない内容になっていることは確かです。
合格を目指すのであれば、「簡単」という情報に惑わされず、正しい知識をつける必要があるでしょう。
3.行政書士の仕事は簡単?
行政書士の仕事自体が簡単だから試験も簡単、というように認識している人も一定数います。
行政書士は、もともと「代書屋」と呼ばれていました。
代書屋とは、官公庁に提出する書類を依頼者に代わって作成したり代筆したりする職業です。
そもそも代書屋が生まれた背景には、高等教育を受けられなかったために公的書類の作成や手続きが困難だった人々の存在があります。現在ではほとんどの人が高校に進学し、そのうち多くの人が大学へと進みます。
また、難解な書類でもすべて手書きする必要があった時代とは違い、現在はパソコンで簡単に作成できるようになりました。書き方がわからなければ、インターネットで見本や例がいくらでも出てきます。
このような経緯から、「調べれば自分で作成できる書類を有料で請け負っている」といった印象をもたれ、一部の人から「行政書士の仕事は簡単」といわれるようになったと考えられます。
しかし、行政書士の仕事が簡単であるという認識は誤解です。
許認可申請に関する書類の中には、専門知識やスキルが必要なものも数多く存在します。
また、書類作成だけが行政書士の仕事ではありません。誇りをもって目指しましょう。
行政書士の具体的な仕事内容について詳しく知りたい方は、参考サイトをご確認ください。
参考:行政書士の仕事内容をわかりやすく解説 | 士業・事務系求人サイト seek
4.他の法律系資格より難易度が低い?
行政書士は、他の法律系国家資格の中では中程度の難易度です。
合格率だけで判断すれば、司法書士や社会保険労務士よりは易しく、宅建士や海事代理士よりは難しいといえるでしょう。
ただし重要なことは他の資格との比較ではなく、行政書士試験をよく知り一歩踏み出してみることです。
簡単な試験ではありませんが、手が届かないほど難しい試験でもないはずです。
挑戦するなら、どのような方法で勉強するのか、何年度の受験を目指すのかなど、具体的なプランを立てましょう。
行政書士試験の難しいところ3つ
「正しく対策すれば誰でも合格を目指せる試験」であるとはいえ、行政書士試験には難しいポイントが存在します。
難しいポイントには、以下の3つがあげられます。
- 行政書士試験の合格率は10%前後である
- 試験範囲が広い
- 足切りがある
それぞれ解説します。
1.行政書士試験の合格率は10%前後である
ひとつ目は、合格率が10%前後であることです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
2023年度/令和5年度 | 46,991名 | 6,571名 | 13.98% |
2022年度/令和4年度 | 47,850名 | 5,802名 | 12.13% |
2021年度/令和3年度 | 47,870名 | 5,353名 | 11.2% |
2020年度/令和2年度 | 41,681名 | 4,470名 | 10.7% |
2019年度/令和元年度 | 39,821名 | 4,571名 | 11.5% |
毎年80%以上の受験生が落ちてしまうということは、やはりそれだけの難しさがあるといえるでしょう。
よくある失敗としてあげられることは、完璧を目指しすぎてすべてが中途半端になってしまったり、必要以上に教材を用意してしまい、結局有効に活用できなかったりなどです。
2.試験範囲が広い
行政書士試験の難しさのひとつには、試験範囲の広さがあげられます。
行政書士試験の出題科目は以下のとおりです。
行政書士の業務に関し必要な法令等 |
●民法 ●行政法 ●憲法 ●基礎法学 ●商法・会社法 |
行政書士の業務に関し必要な基礎知識 |
●一般知識 ●行政書士法等行政書士業務と密接に関連する諸法令 ●情報通信・個人情報保護 ●文章理解 |
出題科目は全部で9科目です。
民法や行政法はボリュームがあり、出題数・配点も多いため苦手にできない科目です。
また、法律に関する問題だけでなく、政治・経済・社会の知識が問われる「一般知識」や、国語の読解問題のような「文章理解」にまで対応しなければなりません。
とはいえ、すべての科目に同じだけの時間をかけて進めていくことはおすすめできません。
「出題数の多い民法・行政法を優先する」「2問出題される基礎法学は必ず1問取れるようにする」など、メリハリをつけて学習するとよいでしょう。
3.足切りがある
「足切り」がある点も、行政書士試験の難しさのひとつでしょう。
足切りとは、得点が一定のラインに達しないと、他の要素を満たしていても合格できないことです。
行政書士試験の合格基準は以下のとおりです。
- 法令科目:244点満点中122点以上
- 基礎知識:56点満点中24点以上
- 試験全体:300点満点中180点以上
例えば、法令科目だけで180点以上得点できても基礎知識が24点未満であれば、上記のうち「2」の基準を満たしていないため合格できません。
基礎知識の足切りについては、多くの受験生にとってネックになっています。
満点を狙う必要はありませんが、確実に足切りラインを突破できるよう、余裕をもって得点できるようにしておきたいところです。
行背書士試験に合格するための勉強法
行政書士試験に合格するためには、正しい方法で勉強する必要があります。
ただ闇雲に勉強しても合格できません。
ここでは、行政書士試験に合格するための勉強法について解説します。
自分に合う手段・方法で勉強する
まず、自分に合う手段や方法で勉強しなければ、思うような成果を出せません。
主な手段は独学・予備校(通学)・通信講座です。それぞれのメリット・デメリットは以下の通りです。
勉強手段 | メリット | デメリット |
独学 | ・費用があまりかからない ・自分のペースで勉強できる |
・自分で計画を立てる必要がある ・モチベーション維持が難しい |
予備校に通学 | ・モチベーションが維持しやすい ・講師に直接質問ができる |
・費用が高額になるケースが多い ・通学する時間を作る必要がある |
通信講座 | ・時間や場所に縛られない ・予備校よりも費用を抑えられる |
・結局は自己管理が必要 ・疑問がすぐに解決できないことがある |
自分の性格やライフスタイルに合わない手段を選択してしまうと継続が難しくなるため、自分に合う勉強手段を選択しましょう。
勉強手段が決まったら、どのようなテキストを使用するか、どのような講座を受講するかといったことを決めます。
勉強手段と同様に、「自分に合っているかどうか」が重要です。
予備校や通信講座の資料を請求したり、サンプルをチェックしたりなどして、自分に合うものを模索しましょう。
インプットとアウトプットを同時に進める
インプットとアウトプットを同時に進めることが重要です。
知識を定着させたり理解を深めたりするためには、インプットとアウトプットを別の工程だと考えるのではなく、一連の作業として行うことが有効であるためです。
例えば、まずテキストをすべて読んでから過去問学習に移るといった方法はおすすめできません。
過去問学習を始めるころには、インプットした内容をすでに忘れてしまっている可能性が高いためです。
テキストでひとつの単元をインプットしたらすぐさま問題集でアウトプットを行い、セットで進めていくやり方が理想です。
民法・行政法を優先的に勉強する
合格するためには、民法・行政法を優先的に勉強することも大切です。
前述のとおり、「行政書士試験の試験全体の合格基準は180点以上」です。
行政法の出題数は9科目中もっとも多く、民法も次いで2番目に多く出題されます。
科目 | 出題数 | 配点 |
民法 | 11問(択一9問・記述2問) | 76点 |
行政法 | 22問(択一19問・選択2問・記述1問) | 112点 |
合計 | 33問 | 188点 |
民法と行政法だけで188点です。
もちろん基礎知識の足切りラインを超えることが前提ですが、民法と行政法だけで合格点を突破できてしまいます。
現実には全問正解は難しく、そこまでの完成度を目指す必要もありませんが、民法と行政法を得意にすれば非常に有利な状態で試験に臨めるでしょう。
そのため法令科目では民法・行政法をメインに学習し、憲法や商法・会社法といった他の科目では、「取るべき問題を取る」ことを意識して学習することをおすすめします。
合格のためには合格率の高い講座利用がおすすめ
行政書士試験の難易度や「簡単」と言われる理由、合格するための勉強法について解説しました。
最後にコラムをまとめます。
行政書士の難易度まとめ
- 行政書士試験の難易度は、一般的な資格の中では「上」、法律系国家資格の中では「中の下」程度
- 行政書士試験に合格するためには、600〜1,000時間程度の勉強時間が必要
- 行政書士試験は「簡単」と言われることもあるが、実際は簡単な試験ではなく、試験範囲が広い、足切りがあるといった難しいポイントがある
- 行政書士試験の勉強を始める際は、自分に合った勉強手段やテキスト、講座などを選択することが重要
合格するためには、合格率の高い講座を利用することがおすすめです。
例えばアガルートの行政書士講座なら、合格率56.11%と全国平均の4.01倍であるため、最短ルートで合格を目指せます。
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