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【司法試験・予備試験】刑事訴訟法の勉強法!合格できる答案の書き方とは

勉強法

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このコラムでは、司法試験・予備試験の刑事訴訟法の勉強法や、合格できる答案の書き方についてご紹介します。

著者は、刑事系科目が得意ではなく、時間をかけて勉強しても、ロースクールの成績も、予備校の答練も、得点が伸び悩でしまうという経験をしました。

これから予備試験、司法試験の勉強を始めようとしている方や、始めたばかりで勉強法が今一つ分からないという方から、今年司法試験を受ける受験生、再チャレンジするという受験生で刑事訴訟法の得点を伸ばしたいという方まで、参考になると幸いです。

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司法試験・予備試験における刑事訴訟法とは?簡単&わかりやすく解説

刑事訴訟法は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする法律です(1条)。

簡単に言えば、刑事手続について定めた法律です。

憲法の適正手続(31条ー40条)、特に令状主義(33条、35条)の考え方が根幹にあります。

 

条文は516条までありますが、司法試験、予備試験で出題されるテーマはある程度限られており、中心となるのは捜査(189条ー246条)、公訴(247条ー270条)、公判(271条ー350条)です。

捜査と、公訴・公判は、刑事訴訟法の両輪といえ、司法試験では両方から出題されることが多いです。

昭和23年に制定された法律ですが、その後に追加された条文も含めて、原文には条の見出しがありません。

普段使っている六法に使い慣れてしまっていると司法試験六法で条文を探すのに戸惑ってしまうかもしれません。

 

司法試験では、論文式で、予備試験では、短答式と論文式で出題されます。

予備試験では、短答式、論文式とも、刑法と一緒に問題が配布され、両方を試験時間内に解答することになります。

どちらか一方に偏ってしまわないよう、2科目の時間配分が重要になります。

・司法試験

試験時間

配点

論文式

刑事訴訟法2時間

100点

 

・予備試験

試験時間

配点

短答式

刑法・刑事訴訟法1時間

各30点

論文式

刑法・刑事訴訟法2時間20分

各50点

刑事訴訟法の短答式勉強法

刑事訴訟法の勉強法について、問われる内容やポイントを紹介します。

短答式でどんなことを問われるか

短答式では、捜査・証拠・公判手続などに関する問題が出題されています。

出題形式は多様であり、「正しいものの組み合わせを答えるもの」、「正しいものに1、誤っているものに2を選ぶもの」、「正しいものの個数を答えるもの」などがあります。

そのため、問いをよく読むことが重要です。

短答式の刑事訴訟法では判例を素材にした出題がされますが、細かなところが聞かれるわけではありません。

このため、論文式とリンクした勉強をすることができます。

短答式の勉強法のポイント

短答式の勉強法のポイントを挙げておくので、参考にしてください。

百選判例を押さえよう!

刑事訴訟法では、短答式も判例からの出題が多いことから、百選掲載判例の正確な理解が重要です。

民事訴訟法も同様で、判例百選は刑事訴訟法・民事訴訟法の勉強には欠かせない教材です。

一部、判旨の引用が十分でない事件もありますから、その場合には判例の原文に当たるなど、補充しておきましょう。

※引用:amazon

早くから過去問に取り組もう!

捜査・証拠・公判手続などのテーマ別に編集された短答式の過去問を解くことで、各分野の基本的知識の習得が進みます。

法学部やロースクール、予備校の予習と過去問集を併用すると理解が深まると思います。

条文に当たろう!

短答式の問題を解く際にも、条文を手元において、解いた後に条文を素読しましょう。

その際、例えば、逮捕・勾留など、ひとまとまりで読み、身柄拘束の期間制限の関係性がどうなるのか、などを把握しておきましょう。

また、判例が問題としているのは条文の具体的にどの文言についての解釈なのか、把握するようにしておきましょう。

「暗記」ではなく「理解」しよう!

短答式の勉強というと、とかく解答(〇か×か)を丸暗記しようとする傾向に陥ってしまうことがあります。

ですが、解答を暗記するのではなく、理解して、なぜ判例がそのような判断をしているのかなど、きちんと納得したうえで理解することが重要です。

このため、過去問集は、一問一答式ではなく、実際に本番の試験で出題された(法改正に応じて改題されたものを含む)過去問集で、判例解説などが充実しているものを使いましょう。

 

完璧を目指さない!

司法試験・予備試験で満点を目指してしまうと、かえって非効率的になります。

正答率の低い細かい部分までこだわって勉強をしていると、必要以上に時間がかかってしまいます。

そのため、過去問集は、受験生の正答率が掲載されているものを使用して、正答率が一定あるものを間違えずに解けるようにすることがおすすめです。

基準としては、正答率が70%以上の問題に迷わず答えることができるレベルを目指しましょう。

まず刑法の基本的知識を習得しよう!

刑事訴訟法は、刑法の基本的理解がないと解けない問題があります。

例えば、訴因変更(312条1項)の要否を検討する際にも、訴因(検察官の提示する具体的な犯罪事実)につき、第一段階として「審判対象画定のために不可欠な事実が変動したか」を検討するには、前提として、起訴されている犯罪の構成要件を正しく理解していることが不可欠になります。

 

刑事訴訟法の論文式勉強法!

刑事訴訟法の科目について司法試験、予備試験で出題されるテーマはある程度限られています。

短答式と同様、中心となるのは捜査(第189条ー第246条)、公訴(第247条ー第270条)、公判(第271条ー第350条)です。

「捜査」(判例百選目次:1捜査(1)捜査の端緒と任意捜査、(2)強制捜査、(3)被疑者の権利)と「公訴・公判」(判例百選目次:2公訴の提起、3訴因と公訴事実、4公判(1)裁判所および訴訟関与者、(2)公判準備および公判手続、5証拠、6自白、7伝聞証拠、8違法収集証拠)は、刑事訴訟法の両輪といえ、司法試験では両方から出題されることが多いです。

大まかなイメージとして、「捜査」とは、任意捜査、強制捜査(逮捕、捜索差押など)の被疑者を起訴するまでの手続を指し、「公訴・公判」とは、公訴提起(起訴)した後(「被疑者」は「被告人」になります。)の刑事裁判に関する手続をいいます。

それでは、刑事訴訟法の勉強法のポイントを見ていきましょう。

刑事手続の原理・原則を正確に理解しよう!

令和5年度刑事系第2問(刑事訴訟法)の採点実感(司法試験考査委員が受験生の答案を採点した後の感想などを述べた法務省公表資料)には、「法科大学院教育に求めるもの」として、①刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的について、最高裁の基本的な判例を踏まえて、原理原則に遡り、基本から深くかつ正確に理解すること、②それを踏まえて、関係条文や判例法理を具体的事例に当てはめて適用する能力を身に付けること、③自説の立場から論述の整合性に配慮しつつ論理立てて分かりやすい文章で表現できる能力を培うことが強く求められる、とあります。

司法試験、予備試験を受験する皆さんは、まず上記①刑事手続を構成する各制度の趣旨・目的について、最高裁の基本的な判例を踏まえて、原理原則に遡り、基本から深くかつ正確に理解することが肝要です。

手続の流れを把握しよう!

まず、刑事訴訟法は刑法などの実体法ではなく、刑事事件に関する手続法ですから、まず、一連の手続の流れを把握することが大切です。

刑事訴訟法の出題範囲は、「捜査」と「公訴・公判」に大きく分けられますが、手続の流れも、任意捜査や逮捕から始まって、公訴提起、公判と流れていきます。

特に、逮捕・勾留の身柄拘束には期間制限が定められていますし、公判前整理手続についても流れを把握しておく必要があります。

フロー図が書かれている教材などを使って、条文を参照しながら、一連の手続の流れを掴み、出題されている場面が刑事訴訟手続のどの部分(どの条文)についての問題なのか、理解しておきましょう。

問題文の事例が何条の問題なのか分かるようにしよう!

刑事手続の全体の流れを把握したら、問題文を読んで、設問が刑事訴訟法の何条のどの文言(要件)に関する問題なのか把握し、答案に表すことが必要です。

例えば、令和5年度刑事系第2問(刑事訴訟法)設問1の採点実感には、「不良の水準」にとどまる答案の例として、刑訴法221条の「領置」の意義に全く言及することなく、本件回収行為について強制処分に該当するか否か、単に任意処分として許されるかという、強制処分と任意処分の区別に関する一般論を展開するだけの答案がこれにあたる、とされています。

つまり、答案に問題提起として「本件回収行為は刑訴法221条に規定する領置として適法か」という問題提起すらない答案は「不良」な答案とされているのです。

このように、まずは、刑事訴訟法の何条の問題なのか、理解できるようにすることが大切です。

重要判例の考え方を正確に理解しよう!

問題文を読んで何条についての問題か判断できるようになるには、慣れが必要になります。まずは、判例百選に掲載されている判例の判旨を正確に理解するようにしましょう。

司法試験、予備試験の論文式の問題は、概ね百選判例から出題されます。

判例百選を使った勉強法は、短答式の勉強ともリンクします。

また、ここでも、「この論点ではこの判例がこう判断していた」と論点、判旨を覚えようとしてはいけません。

最終的に覚える必要はあるのですが、まず、何条のどの文言(要件)についての問題なのか、なぜ判例がそのような判断をしているのか、その条文の制度趣旨から論ずることが重要です。

この条文についての深い理解が採点実感の「優秀の水準」にあると認められる答案につながります。

その際、憲法の適正手続、令状主義といった原理・原則についても触れられると良いでしょう。

単に「条文にそう書いてある」というのではなく、「なぜその条文がそのように規定しているのか」を制度趣旨から説明できるようにすることが重要です。

刑事訴訟法の論文式答案の書き方

以上がまず、合格答案に達するための前提となる、基本的知識の習得に関する勉強についてです。次は、習得した基本的知識を答案にどう表すのかが重要です。

法的三段論法を体得しよう!

全科目に共通することですが

①問題提起

②規範

③あてはめ(②の規範に問題文の具体的事実をあてはめる)

④結論

という流れで「法的三段論法」に従って構成されている必要があります。

司法試験は、法的三段論法で文章が書けなければ突破が難しい試験となっています。

上記の、問題文を読んで何条の問題なのか分かるようにするというのが、「①問題提起」、重要判例の考え方を正確に理解するというのが、「②規範」に関するお話です。

次は、「③あてはめ」の段階で、答案に示した規範に、問題文に書かれた具体的事実をあてはめて、適切に「④結論」を導く、ということが必要です。

令和5年度刑事系第2問(刑事訴訟法)採点実感には、設問1の「優秀な水準」は、「事例に現れた具体的事実を抽出、分析し、「領置」に該当するか否かを適切に論じた上で、平成20年決定を意識しつつ、甲のプライバシーの利益と各領置の必要性を比較衡量して相当性を検討するという枠組みを示して領置の限界を論じ、領置対象物の性質、捜査の進展状況、領置の方法など、事例に現れた具体的事実を的確に抽出、分析して結論を導いている答案」であるとしています。

難関の予備試験合格者で司法試験に合格できない答案の多くは、③あてはめに問題があり、2,3行程度しか書かれていないといったパターンです。

逆に言えば、③あてはめさえ書けるようになれば合格できるはずです。

問題文の事実は全て答案に使おう!

では、③あてはめを充実させるにはどのようにすればよいのでしょうか?

問題文を作成する側の立場に立つと、問題文の具体的事実は②規範との関係で設定されており、この事実をあてはめでこのように使って欲しい、という想定の下に問題文に書かれています。

判例の事案をベースに事実を少し変えて、判例の深い理解が試される(判例とは事実が変わっていることを踏まえて検討し、判断を修正できているかなど)こともあります。

この意味で、問題文には、答案作成に使わない無駄な事実は一切書かれておらず、全てが答案に使えるヒントが書かれている、と考えましょう。

これは、全ての科目に共通することです。

過去問に取り組もう!

以上のポイントを踏まえて合格答案を作成するには、やはり、実際の論文式の過去問を使って答案を作成してみることです。

時間を測って、時間内に書けるかどうかチャレンジしましょう。

最初は書けなくても大丈夫です。

①問題文を読む、②答案構成をする、③答案を書くの3つのステップがありますが、①②に試験時間の半分以上を割いてしまうと、最後まで答案が書き切れなくなってしまいます。

司法試験で「一応の水準」である50点程度を獲得するには、全設問について偏りなく得点し、大きく得点を落とさないように注意することが鉄則です。

このため、途中答案で最後の設問で大きく得点を落としてしまうと合格が難しくなってしまいます。

このような意味でも、時間配分の調整も実際に答案を作成してみて体得しましょう。

また、過去問を解いたら、司法試験委員会が発表している「出題趣旨」と「採点実感」をしっかり読み込むことをおすすめします。

そうすることで、どこがポイントなのかを、深く理解できると思います。

このような勉強をしているうちに、問題の読み方がわかってきて、重要な論点を間違えないようになってきます。

 

刑事訴訟法を勉強する上での注意点

刑事訴訟法を勉強する上での注意点、やってはいけないことや、やった方がいいことについて確認していきましょう。

細かい論点を深追いしない

初学者向けのコンパクトにまとまった基本書などを使って、全体像を掴むことが大切です。

特に、法学部の授業では担当教授の取る学説について詳細に解説されたり、判例自体の解説よりもその批判に力点が置かれたりということがあります。

しかしながら、司法試験はあくまで裁判官、検察官、弁護士などの法曹実務家登用試験ですから、少数説を含めた学説の理解に時間を割く必要はありません。

興味が湧いてしまっても、そこは押さえて、あくまで判例の理解に注力しましょう。

少数説を含む学説の理解にまで勉強範囲を広げてしまうと、合格からはどんどん遠ざかっていってしまいます。興味がある方は、合格した後で思う存分勉強しましょう。

短期合格を目指すには、司法試験合格に必要な範囲の勉強(条文・確定判例の基本的な理解)にとどめ、それ以外にまで勉強範囲を広げない、ということが鉄則です。

一定の結論に偏った検討をしない

一定の結論に偏った検討をしないよう、意識することは大切です。

例えば、人権を守る弁護士になりたいと志している受験生などは、とかく違法と結論付ける方向の事実ばかりを抽出して論じてしまい、適法性を基礎づける事実を無視してしまうといった傾向が見受けられます。

検察官を志望する受験生は、反対に適法性を基礎づける事実に目がいきがちかもしれません。

しかし、法曹実務家には、世の中の多くの人が納得できるような判断、結論を導くため、バランス感覚が求められており、片方の結論を導く事実だけを取り上げ、反対方向の事実を無視するという答案は評価されません。

例えば、自分が違法であるという結論を採用する場合には、先に適法性を基礎づける事実を示して評価した上で、それを覆す違法性を基礎づける事実を示して評価する、といった論述をするようにしましょう。

 

答練や答案を第三者に見てもらう

自分の答案が法的三段論法で書かれているか、日本語の文章として分かりやすいか。

手書答案の場合、字がはっきりと読めるか、など、他の人に読んでもらって意見をもらうことをおすめします。

自分ではできているつもりでも、他者から見るとできていない、意味が理解できない、ということはよくあります。

自分でも書いてあることがよくわからないなあ、と感じたら、当然第三者にとってはさらに意味がわからない解答になってしまっています。

予備校の答練を活用したり、試験を目指している友人など、複数人で協力して、意見交換をしましょう。

まとめ

初学者の方は、まずフロー図などが入ったページ数の多くない基本書を使って、条文を参照しながら全体像を把握し、短答式の過去問、判例百選で正確な基本的知識を習得しましょう。

また、単に条文に規定されているというだけでなく、その条文がなぜそのように規定しているのか、制度趣旨から説明できるようにしましょう。

ここに法律を勉強する面白さ、楽しさがあると思います。

論文式では、問題文を読んでそれが何条のどの文言(要件)についての問題なのか分かるようにしましょう。

論文は、実際に書いてみないと書けるようになりません。

時間配分を念頭に最後まで書き切ること、法的三段論法に従って論ずること、司法試験の「出題趣旨」「採点実感」を活用して問題文に書かれたヒントを読み取れるようにすること、あてはめでは問題文の事実を使い切ることがポイントです。

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