司法修習とは? スケジュールや修習生の給与や生活について解説
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司法修習とはどのような制度のなのか、修習生がどのような生活を送っているのか、気になっている方も多いのではないでしょうか。
司法修習を含めた合格後のビジョンが明確になれば、受験勉強へもより力が入るものです。
そこで、この記事では、司法修習について解説していきます。
ぜひご参考にしてください。
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目次
司法修習とは?
司法修習とは、司法試験合格後、法曹資格を得るために必要な、裁判所法で定められた法曹教育制度です。
日本では、司法試験に合格してすぐに法曹資格を取得できるわけではなく、1年間にわたる司法修習を行い、司法修習の最後にある司法修習生考試(いわゆる「二回試験」)に合格することで、はじめて弁護士・検事・裁判官となることができます。
司法試験ではあくまで法解釈の知識や応用力が試され、机上の勉強が求められるにとどまります。
これに対し、司法修習の目的は、法曹実務に関する知識と実技を学ぶことです。
主に講義と演習を中心とした「導入修習」「集合修習」に加えて、弁護士事務所・検察庁・裁判所で実務を学ぶ「分野別実務修習」「選択型実務修習」も行われます。
修習の具体的な内容・スケジュールについては、この記事で順次説明していきます。
司法修習の日程スケジュール!期間は?いつから?
例年、大まかには以下のようなスケジュール・期間で司法修習が行われます。
なお、司法試験制度に変更があり、令和5年(2023年)の司法試験から、それまで5月に実施されていた司法試験が7月に実施されることになりました。
これに伴い、司法修習の開始時期も、76期までは11月下旬でしたが、77期からは3月下旬に変更されています。
このため、法科大学院の在学中に司法試験に合格した人は、卒業後すぐに司法修習生になることができるようになりました。
基本的な内容については特に変更ありません。
令和5年(2023年)司法試験の合格発表は、令和5年11月8日に行われましたが、その後、司法修習の申込受付は、11月8日〜27日まで(消印有効)行われました。
【スケジュール】 |
【内容】 |
11月 |
司法修習生申込み |
3月~4月 |
導入修習 |
4月~11月 |
分野別実務修習 |
11月~1月 |
集合修習(※2) |
1月~2月 |
選択型実務修習(※2) |
2月下旬~3月(※1) |
司法修習生考試(二回試験) |
3月(※1) |
二回試験合格発表&司法修習終了 |
(※1)は、未発表データのため、推測時期です。
(※2)東京、立川、横浜、さいたま、千葉、大阪、京都、神戸、奈良、大津、和歌山以外の方は、「集合修習」と「選択型実務修習」の時期が入れ替わり、「選択型実務修習」→「集合修習」の順番で行います。
【2024年】77期生の司法修習スケジュール
77期司法修習のスケジュールは以下のとおりです。
※引用:※引用:司法修習とは?2024年(77期)のスケジュールや給料、修習生登録後の流れを解説
司法修習を受ける場所は?
「導入修習」「集合修習」については、全員、埼玉県和光市にある司法研修所で受けます。
実務修習である「分野別実務修習」「選択型実務修習」については、全国47都道府県(県庁所在地にある裁判所等)において受けることになります。
実務修習の配属先については、第1希望から第6希望までの希望を出すことができます(反対に、特に希望がない、もしくは第6希望まで希望地がない場合は「一任」「以下一任」とすることもできます。)
しかしながら、必ずしも希望が通るわけではないことに留意しましょう。
司法修習生に給与・給付金は出る?
司法修習生には、修習期間中、月額13万5千円の基本給付金が支給されます。
このほか、住居給付金、移転給付金も給付されます(基本給付金・住居給付金・移転給付金をまとめて修習給付金といいます)。
住居給付金とは、修習生が賃貸住宅を借り、家賃を支払っている場合に支給される、月額3万5千円の家賃補助のことです。
移転給付金とは、修習のために引っ越した場合に、引っ越しの距離に応じて支給される、引越手当のようなものです。
基本給付金については、修習生登録・申し込みの際に振込口座を登録することを求められ、修習生全員に対して支給されるものです。
これに対し、住居給付金・移転給付金については、修習生自ら決められた期限内に届出をしないと給付されませんので注意してください。
また、修習生は、月額10万円の貸与金を受けることもできます。こちらについては、この記事の後半で説明していきます。
※参考:司法修習生の修習給付金について
司法修習生に家賃補助は出る?
司法修習生には、「住居給付金」という家賃補助の制度があります。
住居給付金は、修習生が賃貸住宅を借り、家賃を支払っている場合に、月額3万5千円支給されます。
「導入修習」「集合修習」は、全員、埼玉県和光市にある司法研修所で受けます。
司法研修所の近くには寮があり、修習生は、導入修習・集合修習中はこの寮に入寮することができます。
これに対し、実務修習は全国47都道府県において行われますが、寮は用意されないため、司法修習生の多くは、ワンルームマンションを借りて生活することになります。
導入修習・集合修習中や実務修習中に賃貸住宅を借り、家賃を支払っている場合には、決められた期限内に届出をすることで、住居給付金の給付を受けることができます。
司法修習の流れ・内容
司法修習は、以下の5段階によって行われます。
- 導入修習
- 分野別実務修習
- 選択型実務修習
- 集合修習
- 司法修習生考試(いわゆる二回試験)
以下、各段階について詳しく見ていきましょう。
修習生登録・申し込み【11月】
司法試験の合格発表は例年11月にあります。
合格した方は、合格発表日~約2週間の短期間で修習生登録の出願手続(司法修習生の申し込み)をします。
令和5年(2023年)司法試験の合格発表は、令和5年11月8日に行われましたが、その後、司法修習の申込受付は、11月8日〜27日まで(消印有効)行われました。
申込方法は、表に「司法修習生採用選考申込書在中」と朱書きした封筒に提出書類を入れ、申込受付期間内に速達書留郵便で、以下の宛先に送付します。
〒102-8651 東京都千代田区隼町4番2号
最高裁判所事務総局人事局任用課試験係
電話 03(3264)8111(代表)
【提出書類】
- 申込書
- 司法試験合格証書のコピー(平成30年度から令和5年度の司法試験合格者を除く。)
- 住民票の写し(本籍地及び戸籍筆頭者が記載されたもの)
- 学校(法科大学院・大学院・大学の成績証明書)の成績証明書
※成績証明書に記載がない場合、学校の卒業(退学)年月を証する書面も必要
このほか、実務修習の配属地の希望などを入力するフォームを送信する必要があります。
導入修習中に入寮を希望する方は、このタイミングでフォームに入力します。
翌年1月下旬に採用内定通知書が届き、順次、実務修習の配属先が記載された書類や「白表紙」と呼ばれる司法修習で使用する教材が送られてきます。
事前課題も同時に送られ、導入修習までに取り組む必要があります。
※参考:司法修習生採用選考
導入修習【3月~4月】
導入修習は、司法修習の最初に行われるプログラムで、司法修習のウォームアップ的な役割を担っています。
修習生は、ロースクール等で実務的な内容を学ぶ機会はある程度得ているものの、実務に関してはまだまだ素人です。
導入修習は、そうした修習生へ「これからしっかり勉強しなければ」と意識付けするような機会となっています。
導入修習では、修習生は、埼玉県和光市にある司法研修所に集まって、主に講義の受講と演習(起案)を行います。
ソクラテスメソッドを用いた双方向型の講義のほか、グループワーク型の課題検討もあり、きちんと予習をして講義に挑むことが求められます。
また、毎日のプログラム終了後には課外講義・講演も開催され、修習生は、自己の興味に合わせて、このような講義・講演を受講することもできます。特に、任官・任検志望の修習生は要チェックです。
導入修習は、教官・修習生がはじめて顔を合わせる機会でもあります。その後の修習生活が充実したものになるよう、修習内外で積極的に交流を深めましょう。
分野別実務修習【4月~11月】
分野別実務修習は、導入修習後の4月~11月にかけて、4クールに分けて行われ、修習のプログラムの大部分を占めます。
各クールでは「民事裁判」「刑事裁判」「弁護」「検察」の修習が実施され、どの時期にどの修習に配属されるかは修習生によって異なります。
実務修習は、全国47都道府県(県庁所在地にある裁判所等)において行われ、「民事裁判」「刑事裁判」「弁護」「検察」の修習は、それぞれ配属地の裁判所、弁護士事務所、検察庁で受けることになります。
「弁護」以外の各クールの始めには1日起案に取り組む機会もあり、導入修習で学んだことをよく復習しておく必要があります。
以下、各クール毎の具体的な説明をしていきます。
「民事裁判」「刑事裁判」
民裁・刑裁修習では、裁判傍聴、事件記録の検討・起案を行います。
また、模擬裁判をしたり、家裁の見学をしたりすることもあります。
「弁護」
弁護修習はそれぞれ配属地の弁護士事務所に配属されて実施され、修習の内容は配属先によって様々です。
たとえば、法律相談や裁判期日、刑事弁護の接見に同席したり、起案をしたりします。
「検察」
検察修習では、修習生一人ひとりに事件が割り振られ、検察官と同じように実際に捜査していきます。
被疑者の取り調べをしたりなど、司法修習のなかでもとりわけ実践的であるといわれているのが検察修習です。
選択型実務修習【11月下旬~1月中旬or1月中旬~2月下旬】
選択型実務修習は
- 全国プログラム
- 個別プログラム
- 自己開拓プログラム
- ホームグラウンド修習
に分かれています。
修習生は、選択型実務修習が行われる約2ヶ月間で、この4つのプログラムを自己の興味に合わせて組み合わせることができます。
以下、それぞれのプログラムについて説明します。
全国プログラム
全国の修習生を対象として、研修所があらかじめ設置してくれているプログラムであり、開催地も全国各地にあります。
官公庁・企業や、地方の法テラスでの修習など様々なプログラムが用意され、募集人数は少なく、参加者は抽選によって決定されることが多いです。
個別プログラム
各配属地の裁判所・検察庁・弁護士会が設置しているプログラムで、内容は配属地によって様々です。
分野別修習の補完・発展を目的としています。
自己開拓プログラム
修習生個人が主体的に官公庁や企業に掛け合って修習先を見つけるプログラムです。
ある程度実績がある修習先でないと受け入れられづらいので、大企業や官庁などが修習先となるのが一般的です。
ホームグラウンド修習
弁護修習で配属された弁護士事務所において、弁護修習の続きをするプログラムです。
ほとんどの修習生がこのプログラムを選択修習に組み込みます。
集合修習【11月下旬~1月中旬or1月中旬~2月下旬】
集合修習では、約1ヶ月半、民事弁護・刑事弁護・民事裁判・刑事裁判・検察の5科目について講義を受けます。
集合修習は、導入修習と同じく、再び、埼玉県和光市にある司法研修所で受けます。
具体的には起案と模擬裁判が行われます。起案は丸一日かけて行われ、とてもハードな内容となっています。
二回試験に対応できる実力が身につくよう、最後にみっちりと学ぶ機会です。
司法修習生考試・二回試験
司法修習の最後には、司法修習生考試(いわゆる「二回試験」)が行われます。
二回試験では、先述の通り、「民事裁判」「刑事裁判」「検察」「民事弁護」「刑事弁護」の5科目が出題され、1日1科目合計5日間のスケジュールで実施されます。
試験は起案の形式で行われ、試験時間は昼食時間も含めて7時間半です。
二回試験に合格しなければ法曹資格は得られませんが、二回試験の不合格者は例年10人に満たないくらいで、極めて少数です。
二回試験に合格することで、晴れて司法修習生としての生活は終わり、弁護士・検事・裁判官となることができます。
司法修習生の寮は?いずみ寮での生活とは
「導入修習」「集合修習」は、全員、埼玉県和光市にある司法研修所で受けます。
司法研修所の近くには「いずみ寮」をはじめとする寮が複数あり、修習生は、導入修習・集合修習中はこれらの寮に入寮することができます。
いずみ寮にはA棟とB棟があり、A棟には女子フロアと男子フロア、B棟には男子フロアのみがあります。
修習生には、ビジネスホテルのシングルルームくらいの広さの個室が割り振られます。各部屋はユニットバス付きで、ベッド、勉強用の机・椅子が備え付けられています。
また、共有スペースには、ランドリー室、給湯室があります。
寮に入らない場合は?
入寮は抽選で決まり、入寮を希望しても、抽選に漏れて入寮できない場合があります。
なお、地方在住の修習生が優先的に入寮を許可されるため、首都圏在住の修習生や、実務修習地が東京・立川・さいたまの修習生は基本的に入寮できません。
また、入寮を希望しないという選択を取ることもできます。
入寮のメリットとしては、①寮が研修所の敷地内にあり、通所の負担が大きく軽減されること、②他の修習生との交流を深める機会を得やすいこと、といったものが挙げられます。
入寮しない場合、自宅から通う修習生は、それまでの生活環境を大きく変えずに修習に挑むことができますが、研修所が和光市駅から離れているため、通所がかなり大変といったデメリットがあります。
働きながら通うことはできる? 副業は可能?
司法修習生は修習に専念すべき義務を負っているため、許可を受けなければ、兼職・兼業または兼学をすることはできません。
希望する場合、申請をして、兼業等の必要性や司法修習に支障がないことが認められれば、兼職・兼業または兼学が認められることになります。
修習生の中には、許可を得て、答案添削や講師業務をしている人もいます。
司法修習で貸与金は受けられる?
司法修習生には、修習期間中、毎月、基本給付金(月額13万5千円)・住居給付金(月額3万5千円)が給付されます。
このほか、修習生は、貸与金を受けることもできます。
貸与額は一貸与単位期間(1ヶ月)につき10万円です。最大で計13回の交付があるため、合計130万円の貸与を受けることができます。
貸与金は、5年間の据置期間の後、10年間の返済期間のうちに返済します。
司法修習生の生活は実際どう?
勤務時間(修習の時間)は、一般の公務員と同じく、基本的に平日の9時から17時となっています。
修習以外の時間は自由に過ごすことができます。
例えば、平日には修習生同士で飲み会をしたり、休日には旅行へ出かけたりすることもしばしばです。
実務修習の配属先が地元から離れた土地の場合、まだ訪れたことのない場所をじっくり見て回ることができます。
ですが、弁護士志望の修習生で、司法修習までに内定を得られていない場合や、就職活動を継続したい場合、司法修習中に就職活動を行う必要があります。
また、裁判官や検察官になることができるのは、司法修習生の中でも特に成績が優秀な人たちです。任官・任検志望の修習生は、特に勉学に励まなければなりません。
このように、修習期間中、就職活動に力を入れるとなると、修習が忙しく感じることもあります。
実際、司法修習中は学びも遊びも充実して、楽しい日々を過ごすことができます。
司法試験合格を目指されている方は、司法修習生としての生活のイメージを膨らませることで、より受験勉強に力を入れることができるのではないでしょうか。
まとめ
この記事では、司法修習の制度についてお伝えしました。
ご紹介したポイントをまとめると、以下のとおりです。
- 司法修習とは、司法試験合格後、法曹資格を得るために必要な、裁判所法で定められた法曹教育制度です。1年かけて、「導入修習」「分野別実務修習」「選択型実務修習」「集合修習」を行います。
- 「導入修習」「集合修習」については、埼玉県和光市にある司法研修所、実務修習である「分野別実務修習」「選択型実務修習」については、全国47都道府県で受けます。
- 司法修習生には、修習期間中、基本給付金(月額13万5千円)・住居給付金(月額3万5千円)が給付され、貸与金を受けることもできます。
- 司法修習生は修習に専念すべき義務を負っているため、許可を受けなければ、兼職・兼業または兼学をすることはできません。
- 勤務時間(修習の時間)は、基本的に平日の9時から17時となっており、修習以外の時間は自由に過ごすことができます。
この記事が皆さんの参考となりましたら幸いです。
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