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予備試験とは?試験の概要や受験資格について解説!

予備試験

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このコラムでは、予備試験の概要や受験資格について解説したいと思います。

法律を勉強している人やこれから勉強しようと思っている人にとって、知っておきたい、予備試験の基礎知識を紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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予備試験とは? 法曹(弁護士・裁判官・検察官)になるための最短ルート!

予備試験は法科大学院を修了した者と同等の学識を有するかどうかを判定する試験です。

司法試験を受けるには、受験資格が必要であり、この予備試験に合格することで、受験資格を得られます。

予備試験の他、司法試験の受験資格を得られるルートとしては、法科大学院の最終学年になること、又は修了することがあります。

予備試験に合格すれば、司法試験を受けることができますので、予備試験の合格は法曹(弁護士・裁判官・検察官)への最短ルートと言えます。

予備試験の受験資格は?

予備試験の受験資格は特になく、年齢や学歴、国籍等にかかわらず、誰でも受けられます。

高校生で合格する人もいますし、社会人をリタイアした後で勉強を始め、70歳を超えて合格するという人もいます。正に広く門戸が開かれた試験といえるでしょう。

最短で司法試験に合格するための方法ですから、将来、裁判官、検察官、弁護士などになりたいと思う方は、是非果敢にチャレンジしてみましょう。

予備試験合格までの流れは?

予備試験には、①短答式試験、②論文式試験、③口述式試験と3段階の試験があり、1つずつ順番に合格しなくては、次の試験に進むことができません。

最後の③口述式試験に合格すると、予備試験に合格となり、司法試験の受験資格が得られます。

合格率は、①短答式試験が20%超、②論文式試験が20%弱、③口述式試験が90%超ですので、①短答式試験と②論文式試験に合格すれば、予備試験合格が見えてくるといえるでしょう。

3段階の試験の中で、中心となるのは②論文式試験であり、これに合格すれば、予備試験の合格と共に、司法試験本試験の合格も視野に入ってきます。

以下で詳しく予備試験の内容を見ていきましょう。

予備試験の概要・基本情報

予備試験の概要は、以下のとおりです。

短答式試験

論文式試験

口述試験

受験資格

なし

短答式合格者

論文式合格者

出願時期

願書交付:2月中旬~3月中旬
願書受付:3月初旬~3月中旬

受験時期

7月中旬

9月中旬

翌年1月中旬

実施日数

1日

2日

2日

場所

・札幌市又はその周辺
・仙台市又はその周辺
・東京都又はその周辺
・名古屋市又はその周辺
・大阪府又はその周辺
・広島市又はその周辺
・福岡市又はその周辺

・札幌市
・東京都又はその周辺
・大阪市又はその周辺
・福岡市

千葉県(法務省浦安総合センター)

科目・時間

民法・商法・民事訴訟法(1時間30分)、憲法・行政法(1時間)、刑法・刑事訴訟法(1時間)、一般教養科目(1時間30分)

憲法・行政法2時間20分(2時間20分)、民法・商法・民訴法(3時間30分)、刑法・刑訴法(2時間20分)、法律実務基礎科目

(民事・刑事)(3時間)、選択科目(1時間10分)

民事(15~20分)、刑事(15~20分)

問題形式

マークシート形式

論述形式

口頭試問形式

結果発表

8月初旬

12月中旬

翌年2月初旬


まず、7月の短答式試験から始まって、9月に論文式試験、翌年1月に口述試験が行われ、最終合格発表は2月初旬です。半年間、試験が続くことになります。

まずは、短答式試験で法律基本科目の基本的知識を有しているかどうかが問われ、次に一番の天王山といえる論文式試験に合格する必要があります。

予備試験の論文式試験は、司法試験より問題文が短い分、逆にヒントも少なく、出題範囲も司法試験より幅広いので、司法試験よりもある意味難関な試験ともいえるでしょう。

口述試験は、大きな失敗をしない限り合格できる試験であると捉えてよいでしょう。

例えば、窃盗罪における不法領得の意思など、基本科目の基本知識が口頭で説明できること、短答式試験・論文式試験で身に付けた基本的知識を、考査委員の前で臆せず説明できれば大丈夫です。

予備試験の短答式試験とは?

短答式試験の概要について確認していきましょう。

短答式試験の時間割・試験科目、出題数(令和6年)・配点(満点)は、次のとおりです。

9:45~11:15(1時間30分) 民法・商法・民事訴訟法 各15問・30点
12:00~13:00(1時間) 憲法・行政法 各12問・30点
14:15~15:15(1時間) 刑法・刑事訴訟法 各13問・30点
16:00~17:30(1時間30分) 一般教養科目 45問中20問選択、60点
合計80問・270点

令和6年度の合格最低点は165点で、得点率61.1%でした。

中には正答率の低い問題もありますが、満点を目指す必要はありませんから、テーマ別に編集された過去問集を使って、合格者正答率70%以上の問題を繰り返し解いて、迷わず「絶対に〇」「絶対に✖」と判断し、確実に得点できるようにする問題を増やすことが肝要です。

予備試験の論文式試験とは?

次に、予備試験の天王山である論文式試験の概要について確認しておきましょう。

論文式試験の時間割・試験科目は、次のとおりです。配点は各科目50点、合計500点です。

【1日目】
9:30~11:50(2時間20分) 憲法・行政法 
13:15~15:35(2時間20分) 刑法・刑事訴訟法
16:30~17:40(1時間10分) 選択科目

【2日目】
9:30~12:30(3時間) 法律実務基礎科目(民事・刑事)
14:00~17:30(3時間30分) 民法・商法・民事訴訟法

問われる範囲や科目は、司法試験科目(憲法・行政法・民法・商法・民事訴訟法・刑法・刑事訴訟法・選択科目)に法律実務基礎科目(民事・刑事)が加わっています。

司法試験8科目については、幅広く、いわゆるマイナーな論点も含めて出題される傾向にあることを覚悟しておきましょう。

法律実務基礎科目(民事)は、基本的な法律知識を応用し、具体的な民事訴訟手続や契約書作成などの実務が問われます。

法律実務基礎科目(刑事)は刑法・刑事訴訟法(特に、勾留、保釈、公判前整理手続等の刑事手続、事実認定や、証拠法及び証拠調べ手続)の出題が中心です。

過去問に取り組んで出題分野に焦点を当てた勉強をしましょう。

予備試験の口述試験とは?

口述式試験の概要は、2日間に渡り、法律実務基礎科目(民事)と、法律実務基礎科目(刑事)が出題されます。時間は、人にもよりますが、15分から30分程度です。

2人の考査委員の前で質問に答えていきますが、緊張もしますし、その場で聞かれたことに即座に答えなければならないため、理解度の深さが如実に表れやすいといえるでしょう。

論文式試験と同じ範囲ですが、民法や刑法などの、法律基本科目の知識が問われることもあります。

試験の内容について、口述試験は法務省から問題が公表されないため、実際に行われた試験内容は、受験生が再現した再現答案を確認することになります。

また、論文式試験と同様に六法を参照することができますが、基本的な事項に関しては六法を参照しないで回答する方が、印象はよいでしょう。

令和6年の予備試験日程

令和6年の予備試験では、7月14日(日)に短答式試験、9月7日(土)、9月8日(日)に論文式試験、令和7年1月25日(土)、1月26日(日)に口述式試験が行われる予定となっています。

最終合格発表は、令和7年2月6日(木)です。

試験前後の流れ

期日

試験公告

令和5年12月15日(金)

願書交付

令和6年2月19日(月)~3月15日(金)

願書受付

令和6年3月4日(月)~3月15日(金)

短答式試験

令和6年7月14日(日)

短答式合格発表

令和6年8月1日(木)

論文式試験

令和6年9月7日(土)、9月8日(日)

論文式合格発表

令和6年12月19日(木)

口述式試験

令和7年1月25日(土)、1月26日(日)

最終合格発表

令和7年2月6日(木)

令和7年の予備試験日程

令和7年の予備試験では、7月20日(日)に短答式試験、9月6日(土)、9月7日(日)に論文式試験、令和8年1月24日(土)、1月25日(日)に口述式試験が行われる予定となっています。

最終合格発表は、令和8年2月5日(木)です。

試験前後の流れ

期日

試験公告

令和6年12月13日(金)

願書交付

令和7年2月17日(月)~3月14日(金)

願書受付

令和7年3月3日(月)~3月14日(金)

短答式試験

令和7年7月20日(日)

短答式合格発表

令和7年8月7日(木)

論文式試験

令和7年9月6日(土)、9月7日(日)

論文式合格発表

令和7年12月18日(木)

口述式試験

令和8年1月24日(土)、1月25日(日)

最終合格発表

令和8年2月5日(木)

予備試験の合格率・難易度

予備試験の合格率毎年、合格率は4%以下と、かなり難関であることが分かります。

国の方針として、原則として法科大学院修了を司法試験合格の要件としているため、その例外である予備試験の合格率をそれ程増やせない、ということも難関な試験となっている理由といえるでしょう。

逆に、予備試験合格者の司法試験合格率は、どの法科大学院の司法試験合格率よりも高く、例年95%を超える合格率となっています。

予備試験に合格すれば、ほとんど司法試験合格レベルに達することができると言えます。

年度

短答

論文

口述

最終

令和5年度

20.1%

19.0%

98.4%

3.6%

令和4年度

21.7%

17.8%

98.1%

3.6% 

令和3年度

23.2%

18.2%

98.1%

4.0%

令和2年度

23.8%

19.0%

95.7%

4.2%

令和元年度

22.9%

19.1%

96.4%

4.0%

予備試験の勉強時間

合格に必要な勉強時間は、2000~10000時間といわれ、環境や学習経験によって差が出てきます。

特に多いのは、3000~5000時間です。1年間の学習で確保できる時間は、学生なら、約2500時間、社会人の場合は約1500時間程度が目安といわれています。

まとまった勉強時間が確保できるのはやはり学生ですし、ある程度知識を頭に入れることが必要ですから、脳も若い方が記憶が定着し易いともいえるでしょう。

いずれにせよ最低2年程度は腰を据えて勉強する必要があるといえるでしょう。

「腰を据えて勉強する」というのは、基本的に、生活するのに最低限必要なこと(食事、睡眠、入浴など)以外の時間は、全て勉強に充て、他のことはやらないということを意味します。

司法試験に合格するには、「何時から何時までは勉強する」というよりも「時間がある限り勉強しかしない」という意識で取り組むことが肝心です。

予備試験のメリット

予備試験に合格するメリットは以下の通りです。

  • 最短合格を目指せる
  • 金銭的負担を抑えられる
  • 司法試験の合格率が高い
  • 大手事務所等、就職に有利
  • 法科大学院のない地方に住んでいても司法試験に合格できるチャンスが得られる

最短合格を目指せる

何といっても、予備試験は司法試験合格に最短のルートです。

高校生の合格者も出ており、順当に大学在学中に司法試験に合格すれば、大学卒業と同時に司法修習に行くことができます。

実際に大学在学中に司法試験に合格した後は、簿記の勉強をしたり、留学したり、インターンシップを経験したりして司法修習までの時間を過ごす人もいます。

金銭的負担を抑えられる

法科大学院の学費などの費用を押さえられるということも大きなメリットと言えます。

国立と私立によっても学費は異なりますが、いずれにせよ、法学部の学費よりも法科大学院の学費の方が高額であることが多いため、予備試験ルートを進むことで、大きく費用を削減できる可能性があります。

司法試験の合格率が高い

また、予備試験合格者の95%以上が司法試験に合格しているということも予備試験を目指すメリットといえるでしょう。

予備試験に合格できれば、司法試験合格の可能性も格段に高まります。

大手事務所等、就職に有利

予備試験合格者の多くは、いわゆる5大法律事務所などの大手事務所が主催するサマークラークなどに参加し、司法試験合格前に大手事務所の内定を得ていることもあります。

予備試験に合格していると、複数の大手事務所からのオファーが来ることも少なくありません。

法科大学院のない地方に住んでいても司法試験に合格できるチャンスが得られる

法科大学院は全国的に減少傾向にありますし、特に地方大学でその傾向が顕著です。

自宅から法科大学院に通えない地方に住んでいても、予備試験に合格すれば法科大学院に通わずとも司法試験を受験することができます。

また、予備校の講座は、コロナ禍以後特に通信教育も充実していますので、これらを利用して短期合格を目指すことも可能です。

予備試験合格を目指す方へのアドバイス

予備試験合格を目指す方へ、いくつかのアドバイスをしたいと思います。

これから勉強を始める人へのアドバイス

「司法試験に合格し、裁判官、検察、弁護士などになりたい」と思う理由を、自分自身で考えてみましょう。

最近の学生は、IT系で活躍したい人、起業して自分の興味のある分野で稼ぎたい人、なども増えているでしょう。

法曹資格を得て自分はそこで何をしたいのか、どうしても法曹資格を得たいのか、よく考え、「やっぱり法曹資格を得たい」と思う人は、「合格するまで受験し続ける」という覚悟を持って勉強に取り組みましょう。

最後は「どうしても合格したい」という気持ちの強さが論文式試験の最後の1行まで書き切り、合格につながる、ということもあります。

個人の人権を守り社会正義を実現したい、法的紛争を公正・公平に解決する方策を考えたい、といった気持ちのある方には、是非受験をお勧めします。

社会人の場合

社会人の方は、学生に比べてまとまった勉強時間を確保しにくいという難点があります。

社会人の方は、生活に必要な睡眠、食事、入浴などの時間や労働時間の他は全て勉強に充てるという意識を持って、勉強に取り組むことが必要です。

例えば、電車の移動時間などの隙間時間も有効に使って、民事訴訟法の基本タームを覚える、判例百選を読む、といった工夫をしましょう。

著者も社会人として仕事をしながら司法試験に合格したのですが、勉強したいのに用事があって勉強できない、というストレスを感じることが多かったため、勉強できる時間をありがたく嬉しく感じたものです。

著者の場合、平日は午後9時から3時間程度、休日はできる限り8-10時間程度、勉強に充てていました。

また、法的三段論法に則った答案の書き方を身に付けるなど、効率を高めるために予備校を利用することや、2年後には合格するなど、合格年を明確に定め、それに向かって逆算して勉強計画を立てるといったことも有効です。

学生の場合

学生の方は、勉強をしようと思えばいつでも勉強でき、若く記憶力もよい、という恵まれた環境にある反面、多方面に興味が行きやすく、友達からの遊びの誘いを断るなど、強い意志を持って勉強を持続させ、スケジュール管理の徹底をしていくことが必要になります。

大学受験も同様だと思いますが、膨大な量の勉強をこなして合格に必要なレベルに達するには、自己管理、タイムマネジメントができる能力が必須です。

短答式試験が終わった後数日は息抜きするなど、時々リフレッシュすることも必要ですが、基本的には「試験勉強を中心とした生活」をすることが短期合格への道となるでしょう。

大学での勉強に加えて、早くから予備校の講座を定期的に受講することなどにより、より短期間で集中して勉強し、短期合格を目指すと良いでしょう。

一緒に勉強する仲間とゼミを組んで答案を添削し合ったり、意見交換したりすることもお勧めです。

学習経験がある方へのアドバイス

数年勉強を続けても合格できないという場合、これまでの勉強の仕方を見直す必要があるかもしれません。

自分の弱点、学習が足りていない点の分析を行い、それを克服するための方策を考えることが大切です。

例えば、合格に必要な範囲の勉強(重要判例の基本的理解)以外の勉強に時間を割いている、条文が意識できていない、法的三段論法に則って答案が書けいない、規範を示さずいきなり具体的事実の検討から入っている、答案の分量が増えていかない、途中答案になってしまう、など、それぞれに課題があるでしょう。

また、かつて勉強していたが、中断してから何年か経っているという場合、予備試験の出題形式や、民法その他重要な法令・判例も数多く更新されているため、最新の知識で試験に臨むには改めて学習し直す必要があるでしょう。

予備校には、学習経験者向けのカリキュラム等もあるため、そのようなものを活用して今までのご自分の勉強法を見直し、効率的に勉強することも検討してみましょう。

また、過去問を解き、問題文を分析して与えられているヒントを読み取れるようになることも合格につながります。

まとめ

予備試験合格は、かなりの難関ですが、司法試験合格のための最短の道であり、将来の進路の選択肢を広げる意味でも有効です。

裁判官、検察官、弁護士などの法曹資格を得て個人の人権の保護や社会正義を実現したいという気持ちのある方は、早くから勉強に取り組むことをお勧めします。

ただし、独学では合格に必要な範囲に絞って勉強することや、モチベーションを持続することが困難ですから、予備校の講座を有効に活用したり、一緒に勉強する友人などと協力して、勉強の進捗を管理していくとよいでしょう。

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