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予備試験は独学で合格可能?独学での勉強法・対策方法は?

予備試験

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このコラムでは、予備試験は独学で合格可能か?や独学での勉強法・対策方法について解説していきます。

司法試験に合格して、裁判官、検察官、弁護士(これらを法曹三者といいます。)などになるためには、予備試験に合格するか、法科大学院に通学して受験資格を取得し、司法試験に合格する必要があります。

大学の学部在学生や社会人の方が司法試験合格を目指すには、法科大学院コースより、やはり予備試験合格が早道です。

実際に、予備試験に合格して司法試験に合格する受験生の数は増加傾向にあります。

このコラムでは、独学合格できる可能性や独学のメリット・デメリット、具体的な勉強方法まで詳しく解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

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予備試験の独学合格は可能?

独学で合格した人に関する公式データはありません。

ただし、実際に予備試験を独学で勉強し、合格することは不可能ではなく、実際に独学で合格されている方もいらっしゃいます。

ただし、時間はかかるでしょうし、非常に難しいのは事実です。

割合としては、「10人に1人いるかいないか」というレベルだと考えておくといいでしょう。

予備試験の独学合格が難しい理由

法律自体が難しい

法律は、どのように解釈すべきか一人では判断が難しいです。

さらに、法令用語(例えば、「及び・並びに」「若しくは・又は」「その他・その他の」の使い分けなど)のルールや専門用語も多いため、文章を読むこと自体も難易度が高いと言えます。

民法の見出しをみても、「第二章 人」「第一節 権利能力」「第二節 意思能力」「第三節 行為能力」などと書かれていたりと、読んだだけですぐにイメージができる内容ではありません。

インターネットで検索して用語の説明を読んでも理解できる範囲は限られているでしょう。

範囲が広く、科目数も多い

予備試験の勉強は、範囲が広く、科目数も多いため、方針が立てづらいという特徴があります。

まず、予備試験の科目には、公法系の「憲法・行政法」、民事系の「民法・商法・民事訴訟法」、刑事系の「刑法・刑事訴訟法」、「選択科目」(破産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際司法のうち1つを選択)、「法律実務基礎科目(民事・刑事)」の10科目あります(ただし、短答式試験の一般教養科目を除きます。)。

民法や会社法などは1つの法律だけで1000条以上の条文があり、インプットすべき量が多いだけでなく、1人ではポイントがつかみにくいという点が難しいポイントです。

合格に特化した学習が難しい

「合格のために必要な点数を稼ぐ」「時間内に解く」ための勉強が、進めにくいのも独学の勉強の難しい点です。

範囲が広く科目数が多い上に、基本書を読んでいても、どこが重要で試験に頻出の論点なのか、そもそも試験に出る論点とは何なのか、ピンと来ない方も多いと思います。

行政法の科目は法律全般を広く指し、範囲が広いです。

民法や会社法は1000条以上ありますが、合格のために、これらの多くの法律の条文を全て覚えたり、どこに何が書いてあるのか全てを把握する必要はありません。

その代わりに、試験に頻出の論点、重要な判例を中心に勉強していく必要があります。

基本書の中には、重要な用語が太字ゴシックで書かれている本などもありますが、判例百選に掲載された判例の判旨を全て覚えることは難しいですし、メリハリをつけた勉強を行う必要があります。

ですが、独学では、「何が重要論点で、反対にどの部分が予備試験では取り上げられにくいのか?」を見極めることは難しいでしょう。

論文試験は知識だけでは解けない

論文試験は知識だけでは解くことができません。これも予備試験の独学合格が難しい理由の一つになっています。

基本書等で基本的知識を身に着けて予備試験の短答式に合格したとしても、論文試験に合格するためには、法的三段論法に従って答案が書けることが必須となります。

これを独学で身に着けることは非常に難しいと言えます。

法的三段論法とは、論理学において用いられる論理的推論の型をいいます。

①問題提起→②規範→③あてはめ→④結論の法的三段論法に従って答案が書けることが必須なのですが、普段からこの法的三段論法に従って文章を書くトレーニングをしていないと、試験本番で突然実践しようとしても難しいでしょう。

多くの初学者の受験生の答案は、一般的に、②規範を示さず、いきなり③具体的事実の検討から入ってしまう傾向や、②規範と③あてはめが混在してしまう傾向がみられます。

自分の書いた答案が法的三段論法に則って書かれているのかどうか、客観的な目で見て添削してもらう必要があるため、独学では学習が進めにくい傾向があります。

独学で勉強するメリット・デメリット

独学で予備試験を勉強するメリットとデメリットをみていきましょう。

独学で勉強するメリット

独学で勉強するメリットは「費用を最小限にできる」「自分のペースで勉強できる」「自分に合った教材やスタイルで勉強できる」という点です。

自由なスタイルで勉強をしたい方にとって、これらのポイントはメリットと言えます。

費用を最小限にできる

独学で勉強する場合には、基本的に、基本書、判例百選、論証集などの書籍の購入代などで済みますから、費用を最小限に抑えることができます。

これに対して、予備校に通う場合、どの予備校にするかや、どの講座をいくつ取るのかにもよりますが、数十万円から100万円以上の費用がかかることになりますので、大幅に費用を抑えることができるでしょう。

自分のペースで勉強できる

独学の場合、予備校の授業のペースに合わせる必要はなく、自分の都合のよい日時に、学習速度も自分のペースで、忙しいときは減らし、時間があるときには集中して行うなど、調整することができます。

自分に合った教材やスタイルで勉強できる

独学であれば、教材や学習方法も自分で好きに選択することができます。

インターネットには、お勧めの基本書などが掲載されているサイトが複数ありますし、それらを参考にしながら基本書等を選び、自分のやりやすい方法で勉強することができるでしょう。

独学で勉強するデメリット

予備試験の勉強を独学で進めるデメリットは「モチベーションの維持が難しい」「わからないところを解決しにくい」「効率的な勉強ができない」という点です。

モチベーションの維持が難しい

独学で勉強する場合、自分のペースで進めることができる反面、勉強を持続するモチベーションの維持が難しいというデメリットがあります。

予備試験に合格するには、やはり、最短でも2年程度集中して勉強する必要があります。

10科目の膨大な量の勉強を一人で地道に続けるのは、相当の根気がいります。

わからないところを解決しにくい

独学で勉強する場合、難解で分かりにくい条文や、判例などについて質問したり、議論したりできる機会が少なく、わからないところを解決するのが難しいというデメリットもあります。

法律の勉強は独特の法令用語や専門用語が用いられているなど、難解な部分がありますので、誰かに質問して疑問を解決できる環境で勉強することが推奨されます。

効率的な勉強ができない

独学だと、予備試験で出題されやすい範囲にスポットを当てて重点的に勉強するなど、効率的に勉強をすることが難しいという点もデメリットの一つと言えます。

膨大な範囲を効率的に勉強しても最短で2年程度はかかるわけですから、例えば勉強すべきポイントがわからないまま、少数の学説など、細かい部分まで把握しようとすると、何年かかっても合格できないという状況に陥ってしまいます。

予備試験に独学合格するための勉強法と対策

独学合格をするためのポイントは以下の通りです。

  • 教材選びは慎重に
  • インプットは最小限に
  • 反復練習する
  • 文答案の作成を早く始める

教材選びは慎重に

独学で予備試験の勉強を進める場合、まず、多くの基本書などの教材の中から何を選ぶのかが重要になります。

インターネットや周りの人の意見、実際に書店で手に取ってみたりして、まずは初学者向けの基本書から選びましょう。

基本書を読みながら、基本書に掲載されている判例を判例百選で確認し、読んだ範囲の予備試験・司法試験の短答式の問題集(過去問をテーマ別に編集したもの)も解いていくと良いでしょう。

インプットは最小限に

勉強の範囲は広げすぎないことが肝要です。

予備試験・司法試験は法曹実務家の登用試験ですから、基本的には判例を正しく理解していれば足り、学説は合格のためには基本的に必要ではありません。

また、論点は判例百選に掲載されていないようなものは主題されにくい傾向にありますから、基本的には判例百選の範囲の論点を押さえておけば足りるといえるでしょう。

なお、「判例百選」というタイトルですが、判例の数は100を超える科目が多いですから、それだけでも相当な範囲にはなります。

反復練習する

予備試験では、短答式試験で正しい選択肢を選択できるというだけでなく、論文式試験で判例の判断とその理由(判旨)を、規範として答案に書けるようにしておく必要があります。

判例が述べていることを「理解している」だけでは足りず、それを判例の表現と全く同じでないとしても、「概ね同じ内容を再現できる」レベルまで反復練習することが肝要です。

また、基本的な用語の意義・定義を正確に書けることも必要です。

論文答案の作成を早く始める

①問題提起→②規範→③あてはめ→④結論の法的三段論法を身に着けられるよう、論文を書く練習を早くから始めることをお勧めします。

予備試験・司法試験の過去問などを使って答案を書いてみることで、どのレベルまで勉強を進めればよいか、自分の足りていない部分がよくわかり、勉強も進みやすくなるでしょう。

まずは、問題文と設問を読んで何を論ずればよいのか、論点(①何法何条のどの要件・文言が問題となっているのか、②判例はその論点についてどのように述べているのか)が分かり、的確に①問題提起をすることができるようになることが、合格答案への第一歩です。

①問題提起→②規範を論点ごとにまとめた論証集なども有効活用すると良いでしょう。

そのまま暗記するというより、頻出論点については自分なりの論証を用意しておくと良いでしょう。

まとめ

予備試験に独学で勉強して合格することは、不可能ではありませんが、非常に難しいです。

出題範囲をよく把握し、効率的に勉強をすることや、分からないところを質問したり、勉強のペースやモチベーションを維持することは合格する上で、重要な要素です。

また、自分の書いた答案が法的三段論法に則っているかなど、合格者などに添削してもらい、意見をもらうことなど、予備校を上手に使って勉強して、短期間で合格する受験生が多いというのが実情です。

独学でチャレンジしてみようという方は、まず、勉強の範囲を広げないように注意して、適切な基本書を選び、判例百選や短答式問題集(過去問をテーマ別に編集したもの)、論証集などを使って、コツコツ地道に勉強を進めていきましょう。

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