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六法とは? 司法試験を目指す人へ内容わかりやすく解説

司法試験

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このコラムでは、六法とは何か?司法試験を目指す人へ内容をわかりやすく解説していきたいと思います。

司法試験には、公法系の「憲法・行政法」、民事系の「民法・商法・民事訴訟法」、刑事系の「刑法・刑事訴訟法」、「選択科目」(破産法、租税法、経済法、知的財産法、労働法、環境法、国際公法、国際司法のうち1つを選択)の8つの科目があります。

「六法」というのに、6科目ではありませんね。それでは、「六法」とは何でしょうか? 司法試験・予備試験との関係を中心にみていきましょう。

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六法とは?分かりやすく解説!

「六法」は日本の法律の基盤となる6つの主要な法律のことであり、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法を指します。

司法試験では、これらに加えて、行政法と選択科目が試験科目として追加されており、合計8科目が課されています。

予備試験では、短答式で、この8科目にさらに一般教養が加わり、論文式では、8科目に法律実務基礎科目(民事・刑事)の2科目が加わり10科目になります。

六法全書とは? 種類は?

書店などで販売されている「六法全書」とは、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法を基本とし、これに関する各種法規を収録した書籍です。

種類には色々なものがあり、判例つきのものや、判例がなく条文だけのものがあります。

法学部や法科大学院の授業などで、条文を複数あちこちに飛んで確認したいときには判例がないものが必要になりますし、各条文の要件、文言についてどのような判例があり、各判例がどのように判断しているのかなどを確認するときには判例付きのものが有用です。

法律を勉強する場合、両方揃えておくと良いでしょう。

司法試験・予備試験の受験生に良く使われるものとして、判例六法(有斐閣)、ポケット六法(有斐閣)、司法試験用六法(第一法規)、法学六法などがあります。

六法の内容について、簡単に解説

六法の各法律の内容について、概要を見ていきましょう。勉強する上で重要なポイントについても、適宜触れたいと思います。

憲法

憲法は、日本の最高法規であって、最近の最高裁判決で判断されたように、性同一性障害特例法や、旧優生保護法の規定など、憲法に違反する法律の条文は違憲無効となります。

憲法の三大原則として、①国民主権・②平和主義・③基本的人権の尊重が挙げられます。

近年の国際情勢の不安に鑑みると、この三大原則が当然のものではなく、非常に尊いものであることを実感させられるのですが、司法試験・予備試験との関係でも特に重要なのが③基本的人権(13条から29条まで)が最も重要で、論文式の多くの問題がこの範囲から出題されます。

短答式では、基本的人権だけでなく天皇や統治など、満遍なく出題されます。

判例百選の解説が3頁にわたる判例など、重要判例についての正確な理解をすることが短答式・論文式ともに重要になります。

民法

民法は、私人間の法律関係について定めた法律で、①総則・②物権・③債権・④親族・⑤相続の5つの編から成り立っています。

民事系3科目の基本となる法律です。条文の数が1000条以上あり、法学部・法科大学院の授業でも最も講義数の多い科目といえるでしょう。

法学部や法科大学院の授業は総則からスタートすることが多いですが、「人」「権利能力」「意思能力」「行為能力」「法律行為」といった抽象的な概念が多いため、著者は初学者の方には、契約各論(贈与(549条)から和解(696条)まで)から、初学者向けの基本書を読んでみることお勧めします。

司法試験・予備試験の論文式でよく出題されるのは、①総則のうち法律行為(意思表示、代理など)・②物権・③債権ですが、短答式ではこれらのほか、全般から出題されます。

刑法

刑法は、総論(第一遍 総則)と各論(第二編 罪)から成り、総論では、故意・過失、正当防衛、未遂、共犯、罪数などについて、各論では、殺人、窃盗などの犯罪の構成要件について定められています。

法学部や法科大学院では、総論から勉強しますが、やはり抽象的な概念が多いため、各論で規定されている個々の犯罪の構成要件(立法者が犯罪として法律上規定した行為の類型。刑法の条文に書かれた犯罪の成立要件のこと。

例えば、殺人罪(199条)の場合、①行為者(加害者)(行為の主体)が、②人(被害者)を殺す行為をし(実行行為)、③②の行為よって人(被害者)が死亡したこと(結果の発生、行為と結果の因果関係)、④加害者に殺す故意(②③人を殺すことについての認識・認容)があること)の部分をさっと目を通してから総論に戻ると、勉強し易いと思います。

司法試験・予備試験との関係では、総論の重要論点として、不作為犯、因果関係、正当防衛・緊急避難、故意・過失、未遂、共犯などが挙げられます。

各論は、まず財産犯(窃盗(235条)から毀棄隠匿罪(264条)まで)の構成要件をしっかり押さえることが先決です。

商法

商法は、司法試験・予備試験の科目でいうと、①商法(商法という名称の法律:商法総則・商行為)、②手形法・小切手法、③会社法の3つを指します。

出題の大部分を占めるのは、会社法であり、中でも、株式・新株予約権、株主総会、取締役・取締役会、組織再編、企業買収・支配権の争奪などがよく出題されます。

これらの分野の各論点について、関係判例を正しく理解し、論述できるようにしておくことが必要です。条文の数が1000条以上ありますので、まずは、目次も有効に使って何がどこに書いてあるのか条文の構造を把握しましょう。

その他の①商法総則・商行為、②手形法・小切手法は、どこに何が書いてあるのか条文を確認しておくこと、主要論点についての判例の判断内容を把握しておくこと、という程度で足りるでしょう。

民事訴訟法

民事訴訟法は、民事訴訟の手続、ルールを定めた法律です(1条)。

裁判官や民事訴訟の代理人となる弁護士らは、民事訴訟法・民事訴訟規則のルールに則って訴訟手続を進めていくことになりますから、しっかりと把握し、遺漏のないように、適時・適切に訴訟指揮や攻撃防御ができるようにしておく必要があります。

司法試験、予備試験で出題される主な分野は、当事者(当事者能力、当事者適格など)、訴え(訴訟物、重複起訴の禁止、訴えの利益、確認の利益など)、弁論(攻撃防御方法の提出時期、弁論主義、裁判所の釈明、自白など)、証拠(証明・事実認定、証明責任)、判決および訴訟の終了(申立事項と判決事項、既判力)、多数当事者訴訟(通常共同訴訟、必要的共同訴訟、補助参加など)です。

刑事訴訟法

刑事訴訟法は、刑事訴訟の手続、ルールを定めた法律で、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現することを目的とする法律です(1条)。

憲法の適正手続、令状主義の考え方が根幹にあります。司法試験、予備試験で出題されるテーマは捜査、公訴、公判です。

昭和23年に制定された法律ですが、その後に追加された条文も含めて、原文には条の見出しがありません。

普段使っている六法には、出版社が編集上の見出しを付けていますので、使い慣れてしまっていると司法試験六法で条文を探すのに戸惑ってしまうかもしれません。

行政法

行政法は、「行政法」という名前の法律はなく、国や地方公共団体が国民や住民に対し、一方的にその権利を制限し義務を課すことを認める法律全般や、その手続や救済、行政組織などについて定めた法律をいいます。

例えば、都市計画法、道路法、行政手続法、行政事件訴訟法などです。

行政法の定義自体が曖昧で分かりにくいですが、司法試験・予備試験との関係では、行政事件訴訟法を提起する場合の訴訟要件や、本案での違法性の主張が学習の中心になります。

六法の使い方

法律を勉強する際の六法の使い方について解説します。

条文を引きながら勉強する

裁判官、弁護士などの法律家にとって、最も重要なのは法律の条文であり、条文の規定、文言(要件)をその趣旨に沿って解釈、適用することが必要です。

司法試験・予備試験の論文式試験においても「問題文の事例、設問において、何法の何条のどの文言(要件)の問題なのか的確に示すことができる」というのが、優れた答案の第一歩です。

そのためには、まず、条文そのものの規定を普段からよく読むことが必要です。

基本書などを読んでいて条文が出てきたら、その都度六法を引いて条文に当たるようにしましょう。最初は時間がかかるかもしれんが、だんだん引き慣れてくるとスピードも上がってきます。

条文を読むときのポイントとしては、法律の条文は基本的に①要件と②効果から成り立っており、論文式試験の答案では、①問題となる条文の要件をすべて充足し、②当該規定によって損害賠償責任が生じたり、解除権が発生したりするなどの法律効果が生ずるのか、を検討することになりますから、条文の①要件と②効果を意識して読むことをお勧めします。

暗記は必要ない、条文をすぐ引けるように

短答式試験では、条文の規定そのものを知っていないと解けない問題も一部ありますが、法律の条文を基本的には暗記する必要はありません。

ただし、条文をすぐ引けるように、条文を引くのに時間がかからないようにしておきましょう。
民法や会社法など条文数の多い法律は、最初は目次を使うようにするとよいでしょう。

慣れてくると、おおよそ条文の並びが分かってきて、例えば、民法709条(不法行為)など、頻繁に引く条文は、自ずと条数や規定の内容(要件)も暗記してしまうのですが。

条文の位置づけを理解する

条文を引く際、その条文自体の文言(要件)の意味や法律効果を確認するのはもちろん、条文相互の関係も意識するようにすると良いでしょう。

例えば、民法の表見代理には109条から112条まで規定がありますが、どの場合にどの表見代理が適用になるのか、契約不適合責任における買主の損害賠償請求権(564条等)と債務不履行の損害賠償責任(415条)との関係はどのようになっているのか、などについて考えてみるといったことが必要です。

そうしないと、いざ問題を解くときに何条の問題なのかを間違えてしまうことになってしまいます。

冒頭規定に着目する

条文の位置づけを理解することと重なりますが、例えば、民法の「第三編 債権、第二章 契約、第三節 売買」の冒頭規定は555条であり、585条までの売買契約に関する規定の中核となる規定です。

556条から585条までの条文は、555条が定めている売買契約の特例や効果、その他必要な事項を定めているという関係にあります。

六法に勉強の爪痕を残す

六法の条文は「e-gov(イーガブ)法令検索」などを使ってインターネットで容易に検索することもでき、例えば「役員等」の定義など、特定の用語を検索する際などには、特に有用です。

書籍を汚すことに抵抗のある方もいるかもしれませんが、出版社が編集した書店で販売されている六法を使用するメリットとしては、自分で条文の要件に①②などの番号を付ける、線やマーカーを引く、条文を引いた都度チェックを入れて何回その条文を引いたか分かるようにするなど、自分なりのカスタマイズをすることが挙げられます。

これらのメモを入れるのには、価格も手頃なコンパクトな六法を用い、毎年9月頃に新版が発行される都度、買い替えることをお勧めします。

試験用法文とは?

司法試験・予備試験では、六法は試験時に配布される試験用法文が貸与されます。

司法試験用法文は、試験期間中の書込み、折曲げ、持帰りなどが禁止されており、その日の論文式試験が終わると回収されますが、全科目受験した後に、使用した法文を持ち帰ることができます。

この試験用法文は、毎年法務省が発表する、試験を行う年の1月1日を基準日として、既に公布され、かつ、試験日以前に施行されることが確定している法律であって、司法試験・予備試験の対象となる法律の条文が、選択科目も含めてまとめられているものです。

普段使っている六法との違いとして、刑事訴訟法の説明でも触れましたが、通常書店で販売されている六法には、原文に条文の見出しがない法律についても、出版社が編集上見出しを付けています。

ところが、試験用六法では原文どおり見出しがない法律には見出しがありませんから、条文を探すのに戸惑うことがあるかもしれません。

法律の原文は、「e-gov(イーガブ)法令検索」でも確認できますし、書店で販売されている六法もよく見ると、原文どおりのものと、編集上の見出しとでは、見出しのカッコの形が異なっていますから、どの法律に見出しがないのか確認するようにしましょう。

まとめ

「六法」は日本の法律の基盤となる6つの主要な法律のことであり、憲法、民法、商法、刑法、民事訴訟法、刑事訴訟法を指します。

書店などで販売されている「六法全書」とは、これらの「六法」を基本とし、これに関する各種法規を収録した書籍です。

法律を勉強する際には、コンパクトな六法全書などを活用して条文を引き、条文の文言に親しむようにしましょう。

その際、条文相互の関係や、条文に書かれている要件と、全ての要件を充足した場合に生じる効果を意識するようにしましょう。

試験の際に配布される試験用法文は、書店などで市販されている六法とは異なり、原文どおりで、刑事訴訟法など条文の見出しがないものがありますので、注意しましょう。

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